番外編〜『最強』の悩み〜
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なきゃとずっと思い続けてきた。
親友を亡くしたあの日から。
その結果が、『最強』の称号だ。
でも、それでもまだ届かない。
あの悪魔は、倒せなかった。
皆を、守れなかった。
あれだけツラい思いをして、友人と言えるような奴も少なくなって、むしろ嫌われるようにもなって。
他の艦娘がやってるような趣味とかを全くせずに、ほぼ全ての時間を『強くなること』に掛けてきて。
色んな代償を払ってきたのに…………まだ、ダメなのか?
…………もう、払うような代償もねぇよ。
オレは椅子にもたれ掛かったまま、溜め息をついた。
そんな雰囲気のオレに―いや、そもそもオレに話しかけてくるやつなんて、数人位しかいなかった。
「よぉ、木曾。今日は一日非番だってな。」
「まぁ、まだ傷も癒えてないだろうからね。ゆっくり休んだらいいよ。」
「おう、それもそうだぜ?」
天龍、時雨、それに摩耶さんだ。
ちょっと前までは、ここに千尋と夕立と春雨が居たんだが…………アイツらは佐世保鎮守府に異動だ。少し、寂しくなった。
「あぁ、そうさせて貰うさ。」
オレはそのまま席を立ち、部屋から出ようとした。
何となく、アイツらとも話しにくくなっていた。折角声を掛けてもらってるのに、失礼な話だと軽く笑った。
部屋を出る前ににチラリと見たアイツらは、オレを心配してるような顔をしていた。
チクリと、何かが刺さった気がした。
―屋上―
オレは何となく、屋上に向かっていた。あそこにはバスケのゴールがあるから、暇潰しにはなると思ったからだ。
…………そういえば、あそこで千尋に一本取られたんだっけな。
『だからどうした。』
『例えば春雨。お前はあれが人間に見えないのか?俺には少し内気な女子高生位にしか見えねぇな。』
『それに、鳳翔さんから聞いたけど、俺のお袋も『始祖』らしいしな。俺も半分は人間じゃねぇ。人のことなんて言えねぇし、言う気もねぇ。』
懐かしい話だ。精々半月前位の話なのにな。
オレはそんなことを思い出しながら、屋上への階段を昇っていた。すると、屋上からダムダムという音が聞こえてきた。どうやら、先客が居るらしい。
オレが屋上への入り口を開けるとそこには、運動しやすそうな格好をしていた皐月がいた。
「あれっ。木曾じゃない!どうしたのさこんな時間に!」
皐月はオレがやって来たのを見つけるなり、ボール片手にこっちに走ってきた。可愛い奴だ。
「あー、今日は非番でな。暇潰しに来て
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