艦娘とスイーツと提督と・25
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〜あきつ丸:お汁粉〜
「ふぅ……疲れた時の甘味というのは、やはり五臓六腑に染み渡るでありますなぁ」
「気に入ってもらえたようで何よりだ」
あきつ丸のリクエストは、お汁粉。それも、大鍋で何杯も作って欲しいという変わったリクエストだった。
「しかし……こんなに作ってどうすんだ?まさかこれ、お前一人で食うのか?」
「ははは、自分も甘味は好きでありますが、流石にこの量は無理でありますよ」
「じゃあ、何でこんなに……」
「これは輸送隊の皆の分でありますよ、隊長殿」
「輸送隊?って……あぁ、基地航空隊の補給部隊か」
「でありますよ」
今は大規模作戦の真っ只中。一応要求された回数的の姫級は倒したのだが、引き続き出来る限りの討伐を大本営から下令されている。少しでも今後現れる深海棲艦の戦力を削ぎ落とす為らしいが……正直、意味があるのかは解らない。まぁそれでもやらなきゃならんのが組織に属する人間の辛い所ではあるんだが。
話が逸れた。今は組織に属する悲哀とか世の中の世知辛さを語る場じゃなかった。最近、大規模作戦が行われる度に建設される物がある。航空隊の発着する基地だ。そこに陸軍の攻撃機や海軍の戦闘機、爆撃機等を集積し、航空支援をさせる為の設備だ。年々強力になっていく深海棲艦に対抗するには必要不可欠な物になりつつある基地航空隊だが、運用には当然資材が必要になる。航空機に補給する燃料や弾薬、パイロットや整備員の妖精さん達への食糧や日用品。勿論、航空機の輸送もしなくてはならない。その為、砲撃支援等を行う支援艦隊とは別に航空基地へと物資を輸送する輸送部隊を編成する必要があった。それも、艦娘にドラム艦を装備して運搬するような鼠輸送ではなく、タンカーや輸送船を引き連れた大規模な船団が。そして航空機も輸送する都合上、甲板を備えている上に元々が揚陸艇で輸送にも長けているあきつ丸はうってつけの人材だった。
しかしあきつ丸単独で船団の護衛が成り立つ筈もなく、海防艦や駆逐艦、軽巡の護衛も休み無く働いていた。まさにデスマーチ状態だ。
「自分と一緒に駆けずり回っている皆にも、この甘くて温かいお汁粉で少しでも癒されて欲しかったのであります」
「……なんか、気を遣わせたな。すまん」
「いやいや、隊長殿は指揮を執る身の上。忙しくて隅々まで目を配れないのは致し方ない事でありますよ」
あきつ丸……お前、残念な娘だと思ってたが、こんなイイ奴だったんだなぁ!
「……何故だか凄く失礼な事を思われている気がするであります」
「それにしても、このお汁粉は些か甘過ぎるような……」
ブルネイは南方だからな。サトウキビ畑を敷地内に作ってあるので砂糖は豊富だったりする。
「あ、もしかしてくど
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