巻ノ百二十九 木村初陣その三
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「それこそ出るしかなくなるまでな」
「何故豊臣家が大坂から出られぬか」
「あの城のことを知っておるからじゃ」
その大坂城を見てだ、家康は服部に話した。
「どれだけ堅固かな」
「だからですな」
「ならばじゃ」
「その堅固な城をですね」
「堅固でなくすればよい」
そうすればいいというのだ。
「そういうことじゃ」
「講和の暁には」
「そして大坂城から出てもらいな」
そのうえでというのだ。
「後はじゃ」
「その大坂城に」
「幕府が入りな」
そうしてというのだ。
「この大坂、ひいては西国を治めたい」
「それが幕府の望みだからこそ」
「そうしたい、では守りを今以上に固めつつじゃ」
「我等も用いられて」
「大砲を撃つ用意をするぞ」
こう話してだ、家康は実際に服部達に伊賀者を動かさせて甲賀者達にも命じてそのうえで大砲も動かしていた。
その動きは大坂方も把握していてだ、諸将は本丸の軍議で大野に言っていた。
「修理殿、城の周りの忍の者達が増えておりまする」
「そうでありますな」
大野は幸村のその言葉に応えた、
「伊賀者も甲賀者も」
「そしてです」
幸村は大野にさらに話した。
「大砲もです」
「大坂の城に徐々にですな」
「近付けております」
「ここはです」
後藤が幸村に続いて大野に言った。
「やはり」
「外に出てですな」
「戦うべきです」
「その用意は既に出来ておりまする」
譜代衆の将から木村が言ってきた。
「修理殿、後はです」
「茶々様が決断されるだけじゃな」
「我等に許して頂くだけです」
まさにというのだ。
「それだけですぞ」
「それがしにそう思いまする」
毛利は三人に同意して述べた。
「このまま篭城しても埒が明きませぬ」
「南には大御所殿の本陣があり申す、あの本陣を攻めて大御所殿の首を取れば」
長曾我部は右手を拳にして力説した。
「我等の勝ちですぞ」
「ここは攻めましょう」
「是非共」
明石と塙も言う。
「そうして一気に攻めて」
「戦を決めましょうぞ」
「兄上、どうして迷われるのですか」
「迷っても仕方ありませぬぞ」
治房と治胤も兄に言って来た、諸将の考えは外にうって出て戦うことで意見は一致していた。それも完全に。
「ですからここは」
「茶々様を説得しましょうぞ」
「わかっておる、しかし茶々様はな」
大野は腕を組み苦い顔で述べた。
「まだじゃ」
「外にうって出るお考えではありませぬか」
「そうなのじゃ」
幸村に苦い顔で答えた。
「まだな、だからな」
「ここはですか」
「済まぬがもう一度勝って欲しい、それでも駄目ならな」
「二度ですか」
「そうじゃ、二度勝ってくれれば茶々様もな」
篭城を言って
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