晩餐会 1
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て、叙勲者の、俺の経歴は見ただろう。魔術学院に入学したばかりだ。まだまだ学ぶことは多い。国のために働くいとまはないな。それに俺は軍人になるつもりはさらさらないよ。宮仕えは性に合わないんだ」
「今すぐにとは言わないわ。それに四六時中お役所にひかえていろともね。こちらとあなた、双方の都合の良い時に手助けしてくれればいいの。報酬も出すわよ。あなたが学院で有意義に過ごしたいのなら、お金はいくらあっても足りないくらいでしょ。たとえ講師でなくても」
魔術学院の講師陣にとって給料はたんなる生活の糧以上の重要な意味がある。高い階梯の教授職ともなれば、学院から研究費が多く下りるが、講師にまわされる研究費は雀の涙だ。
講師が功績を挙げるために自分の魔術の研究を進めるためには、研究費はみずからやりくりするしかない。
魔術講師は世間一般から見ればたしかに高給取りではあるが、収入以上に支出が多く、実際のところつねに余裕のない状態なのだ。
そして生徒もまた講師ほどではないにせよ、先立つものは必要だ。最低限の学費にくわえて、専門的なことを学ぼうとすれば方々に出費することになる。
錬金術に必要な道具をひととおりそろえるためにもそれなりの金を用意しなければならない。
学院にある錬金台を授業以外で使用するには申請と順番待ちがあり、好きな時に好きなだけ使う。というわけにはいかない。やはり自宅に錬金道具が一式あったほうが望ましい。
「金か……、たしかにいくらあってもこまる代物じゃないな」
「でしょう。とりあえず見習いとしていくつか任務をこなしてみましょうよ。それで合わないようだったら、無理に勧めないわ」
「ふ〜ん、たとえばどんな任務があるんだ」
「あなた、殺しは得意?」
「ド直球な質問だな、おい。俺に王家の殺し屋になれというのか」
「言葉を飾ろうが濁そうが無意味だからね。特務分室の仕事は多岐にわたるわ。そのなかには暗殺や破壊工作といった汚れ仕事がふくまれるのは事実だもの、最初にはっきりさせておかないとね。……少し前まで外道魔術師の処分に向いたメンバーがいたんたけど、殺しの仕事が堪えたようで、心を病んで辞めてしまったの」
「まぁ、普通の神経の持ち主ならばそうなるだろうなぁ」
特務分室は危険な任務が多い。作戦遂行中に命を失う者や、内容に耐えられず辞職する者が後を絶たないために欠員が頻繁に出るため、現在は特に空席が目立つ。なんとか任期をまっとうしても、心的外傷後ストレス障害――心の病を患う者も多い。
「そのてんあなたは慣れていそうよね。クェイドやズンプフをあしらった感じ、手慣れていたわ」
「そう見えるか」
「そう見えたわ」
陰陽塾に入る以前、数多の闇働きで呪殺まがいのことをおこなっていた秋芳である。
その身に帯びた暗いにおいを
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