第5章:幽世と魔導師
第150話「大門の守護者」
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「はっ!」
追撃のように、創造魔法で射出した武器が迫る。
それを弾いた所へ、さらにシャルを振るい、何とか剣戟に持って行く。
「『葵はこのまま警戒……ッ、来る!!』」
「っ……!」
音を切り裂くような剣戟を繰り広げる中、そこへ乱入する気配が。
その気配は、近くにいる葵に非常に似通っていて……。
―――……ミツケタ…
「くっ!」
ギィイイン!!
その中身は、酷くドロドロしたものだった。
まるで、泥のような霊力。それが、薔薇姫の姿をしたナニカに詰まっていた。
「『葵、任せるわ!』」
『了解……!』
葵はそのまま、薔薇姫の姿をした妖を相手に、ここから離れていく。
互いに巻き込まれないための配慮だ。
「あの子の相手は、あの子自身にしてもらうよ」
「あの、そっくりな奴の、正体は……!?」
逸らし、防ぎ、反撃する。
互いに、神速の如き剣閃で攻防をしつつ、私は問う。
あれは、確かに中身は違うけど、まごう事なき葵そのものだ。
「答える義理は、ないよ!」
「ッ……!」
強めの一撃を受け流し損ねて、後退する。
その瞬間に彼女は御札をばら撒く。
私はそれを見るや否や回り込むように加速、側面から斬りかかる。
御札自体には、創造した剣を突き刺し、誤発動させておく。
「(中身はともかく、体自体は葵そのもの。つまり、ガワだけ同じで、中身を代用するかのように変えている?)」
器はそのままなのだ。それこそ、葵本人と言える程。
……器、は……?
「(まさか……?)」
忘れがちだが、葵はユニゾンデバイスだ。
一度式姫として死んで、デバイスとしての肉体を得て今を生きている。
霊力や式姫の時の特徴がほぼそのままとはいえ、その体はデバイスだ。
……そう。葵は既に、“式姫として死んだ”のだ。
「あれは、葵の式姫としての体か……!!」
「ご明察だよ」
中身こそ、幽世の門の影響を受けて妖と化している。
だけど、その体は正しく葵のもの。
「(妖と化しているなら、同じ式姫のはずの鞍馬を襲ってもおかしくはない)」
なるほど。これで辻褄が合う。
そして、この事から薔薇姫以外に式姫の偽物はいないのだろう。
「『クロノ、式姫の偽物は葵以外いないみたい。情報伝達は任せるわ』」
『わ、わかった!』
簡潔に伝え、すぐに念話を止める。
その瞬間、眼前に迫る剣閃。即座に上体を反らして避ける。
同時に創造した剣を射出し、牽制で追撃を阻止する。
……が。
「っ!」
―――“扇技・護法障壁”
咄嗟に障壁を張る。そこへ、空
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