第5章:幽世と魔導師
第150話「大門の守護者」
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=優輝side=
「っ………!」
駆け付けた時には、既に四神が地面に倒れ伏していた。
既に四神からは霊力が感じられない。……敗北したのだろう。
「警戒は頼むわ」
「了解」
一般人と大門の守護者らしき者の間に降り立ち、守護者と対峙する。
尤も、今は四神が倒れた際の砂塵で見えないけど。
「……!」
大門の守護者も私に気づいたのか、歩みを止める。
そして、砂塵が晴れ、守護者の姿が露わになった。
「「ッ―――!?」」
……その瞬間、息を呑んだ。
私の中の“椿の部分”が、信じられないと悲鳴を上げた。
それは私自身の感情となり……。
「っ、ぁ……ありえない……」
つい、そう声を漏らしていた。
『そんな……!?こんな、こんな事って……!』
リヒトを介して繋げていた通信から、瀬笈さんの声が聞こえる。
彼女も、信じられないのだろう。なぜなら……。
「どうして……とこよ、ちゃん……」
「っ、可能性としては、おかしくないのだけどね……!」
……そう。大門の守護者の正体は、“有城とこよ”。
椿たちの前の主にして、かつて幽世の大門を閉じた陰陽師だった。
「その身を犠牲にして大門を閉じたと言うのなら、そのまま大門の守護者も受け継いでいると考えても、おかしくはない……」
……その陰陽師が、大門の守護者になっているなんて、信じられるだろうか。
少なくとも、帰りを待っていた者達は信じられないだろう。
何せ、葵がかつてない程狼狽えているのだから。
「ッ!葵!!」
「っぁ!?」
ギィイイイイン!!
だけど、そんな動揺から立ち直る時間を、彼女は与えてくれない。
姿が掻き消えるかの如き速度で、間合いを詰めて刀を振るってきた。
咄嗟にシャルに霊力を通して防御。金属音が響き渡る。
「ッ、ッ……!」
「その顔は……懐かしいね」
「っ……!?」
“ギチギチ”と、鍔迫り合いの状態で、彼女にそう言われる。
その顔で、その声で言葉を掛けられ、私の“椿の部分”が動揺する。
ドンッ!
「っぁ―――!」
「優ちゃん!」
その瞬間、シャルが弾かれ、同時に蹴りが叩き込まれた。
蹴り自体は空いていた片手で防いだものの、一気に十メートル以上後退させられる。
「ッ―――!!」
このままでは、彼女の傍に残っている葵が危ない。
そう判断して即座に間合いを詰め、シャルによる刺突を繰り出す。
でも、それは体を逸らす事であっさりと躱される。
キィイイン!
「……!」
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