プロローグ
[6/7]
[1]次 [9]前 最後 最初
てやるつもりだったが……矢澤にまかせるか」
「?!」
矢澤姉妹が仰天したように顔を見合わせたが、地面を這うように一瞬で移動したミソラが古代の国名が入った地球儀をトロフィーのように持つとへこへこしながら先生の隣を陣取った。
「ぜひ運ばせていただきます。出席番号8番 響ミソラ……響ミソラが運ばせていただきます」
「選挙カーかお前」
そして教室の扉を開けて出ていく二人を目で追いながら、声だけが反響して段々と小さくなっていくの聴きながら矢澤姉妹はしばし目で追うと幼馴染というか腐れ縁繋がりでミソラの筆箱や教科書を黒いランドセルへと詰めていき、帰りの支度を始めた。
「今日は先生、一段とハリウッド俳優のトムにそっくりですねー」
「お前はその辺りの頭の回転は速いんだよな」
「これで◎(よくできました)が手に入ります?」
「んー?あと四回か五回手伝ったら△(頑張りましょう)だな」
「……僕の評価ってどのくらいです?」
「▲(諦めましょう)」
「あ、諦め!?」
今まで聞いた事のない評価に口をあんぐり開けて思わず地球儀を落としそうになってしまった。
「落とすなよ」
育田先生が職員室に入っていくのを見送るとはす向かいの部屋にある授業で使う用具を置いておく『教科準備室』へ地球儀を軽くブンブン振り回しながら引き戸に手を掛けて一気に開けた。
中は算数で使う三角定規の大きいバージョンや理科で使う人体模型が無表情に立ち尽くしている。子供心にワクワクして地球儀を棚に仕舞うとお宝探しでもするかのように音を立てないように慎重に手が届く範囲の箱を開けていく。
人体模型の視界に入らないように忍び足で伏せながら移動していく。
あの人体模型は宝を守る門番で視界に入らず、音を立てなければバレる事はない。
大きな音をたてたり、目が合ったアウト
勝手に準備室でのルールを決めていき、気分は怪盗にでもなったかのようだ。
フードを深く被って顔がバレないようにふるまうと大きめのそろばんをデタラメに弾いてパスワードを解いて開けたようにイメージしてとある古めかしい箱を手に取った。
箱には十字で切るようにヒモが走っており、隙間に指を引っ掛けると緩んだ気配がした。
軽く振ってみる。
「なんかお宝あるかも」
カラカラと中で音がしている。重いか重くないかでいえば少しだけ重い。
「ん?なんだろう?」
ミソラは十字のヒモをズラして一塊に集めて収束させると箱からヒモを分離させた。
慎重に箱を開けてみる、ナニカ中デ声ガ聞コエルヨウナ……
ミソラの背中に冷たい液体が滴るようなむず痒い感覚に襲われるが好奇心が少しだけ勝っている。
「!?」
「……?!」
綺麗な宝飾が施された冠が入っていたが気付くと冠を中心にほわほわした真っ白な骸骨の頭部が出現してミソラを見上げ
[1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ