刹那の戦闘
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爆煙が吹き飛び、アキトがその中から現れた。
周囲の大気はアキトを取り囲むように螺旋を描き天へと吹き荒れる。
アキトの身は攻撃によって受けた傷は皆無であり、埃の一つも見受けられない。
正に五体満足の状態のアキトがその場に佇んでいた。
チェスマリーモは顎が外れそうなほど口を大きく開け、アキトをまるで化け物が如く畏怖した様子で見ている。
ムッシュールは予想通りそれ程動揺はしていない。
「……」
アキトは冷静に敵戦力の実力を分析する。
一連の奴らとの攻防
これで奴らの個人の実力は把握した。
戦闘を開始した当初から無意識に感じていた違和感の理由も今、理解した。
何故、能力による膜を周囲に張っている自分が回避行動を無意識に取っていたのか。
ジカジカの実の能力の前ではあらゆる物理攻撃は通常ならば意味をなさない。
だが、アキトは本能とも呼べる己の直感に従い回避行動を行っていた。
特にあのおかっぱ頭のムッシュールには最初から細心の注意を払っていた。
能力は勿論のこと、奴の身体能力も目を見張るものがあったが、違和感の正体はそんなものではない。
奴との一連の攻防で今、確信した。
間違いなくムッシュールは覇気を使用している。
偉大なる航路へと入って早々覇気の使い手に遭遇することになるとは思わなかったが、自身の判断は間違ってはいなかったようだ。
しかし、別段焦る必要はない。
覇気の熟練度もジカジカの実の能力を突破する程のレベルには至ってはいない。
まだまだ奴も、そして自分も井の中の蛙の存在だ。
「ムッシッシ〜!楽しいな!対等の力を持つ者同士の戦い!これぞ正しく俺が求めていたものだ!お前もそう思うだろ、なあ、おい!」
見ればムッシュールは己と張り合える実力者であるアキトの存在に喜び、歓喜に打ち震えている。
無論、アキトはそんなムッシュールに付き合うつもりは毛頭なかった。
アキトの目的はこの国の守護であり、第一優先はナミの治療に他ならない。
「さあ、もっと俺を楽しませろ!」
両者の攻防はより過激なものと化し、地を駆け、互いの拳と能力をぶつけ合い、周囲を置き去りにしていく。
空気が震えているが如く大気は震え、地面には小規模のクレーターを次々と作り上げていく。
しかし、アキトにとって最早、ムッシュールは敵ではなかった。
今、此処でアキトは自身の体のギアを挙げた。
突如、アキトは身体の構造上不可能な動きを意図的に行う。
今まさにムッシュールと並走し前傾していた身体を突如後方へと跳ばした。
「何ッ!?」
驚きの声を上げるムッシュール
アキトはムッシュールの声を背に
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