不穏な影
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だ。
「あぁ。深紅ってさ、髪も一房紅いし目も紅いだろ。おまけに加熱魔法を使うからってそう呼ばれてるんだ」
レオのあっけらかんとした物言いに、深紅は安堵のため息をついた。
−−−不知火のことを知って言われたわけじゃないのね。……偶々ドンピシャのあだ名だったけで。
「深紅の紅姫はわかる。でも、俺の場合謎のってなんだよ……」
「一説によると、達也くんは魔法否定派に送り込まれた刺客らしいよ〜」
突然ひょっこりと顔を出してそう言ったのはエリカだ。
「誰だよ、そんな無責任な噂流してるは……」
達也は驚きもせず、ますます顔を渋くする。
「えっ、あたし〜」
「おい!」
「もちろん冗談よ。噂の中身は本当だけどね」
「タチの悪い噂ね」
深紅も若干渋い表情だ。
「わたしも、紅姫って響きはいいけど、一週間に三回も死ぬ思いをしたよ?」
「俺の方もだ……」
「今考えるとさ、よく無事だったよね、わたしたち」
「あぁ。本当だ」
「今日からデバイス携帯制限が復活しますし、もう大丈夫なんじゃないですか?」
美月からかけられた慰みの言葉に、深紅と達也は大きく頷くのだった。
??????
生徒会の昼食風景も、前とは随分様変わりしていた。
まず、ダイニングサーバーの使用はめっきり減った。
摩利につられて、深雪、深紅、真由美もお弁当を作って持ってくるようになったからだ。
そしてメンバーが増え、あずさはほぼ毎日(強制的に)生徒会室で昼食をとるようになっていた。
「達也くん」
昼食も食べ終わる頃、いきなり達也に摩利が話しかけてきた。
本人はさりげないつもりなのだろうが、野次馬丸出しの笑みが隠しきれていない。
達也はほとんど無意識に、構える。
「昨日、二年の壬生をカフェで言葉責めにしたというのは本当かい?」
「……先輩も淑女なんですから、言葉責めという言葉を使うのはやめたほうがいいのではないでしょうか」
微かに間を開けてなんとか返した返答は、少し焦点のずれたものだった。
「ハハッありがとう。あたしを淑女扱いしてくれるのは達也くんぐらいだよ」
「そうなんですか?自分の彼女をレディとして扱わないなんて、先輩の彼氏はあまり紳士的ではないようですね」
「そんなことはないっ!シュウは……」
そこまで言って、摩利はハッとしたように口をつぐんだ。
「………………」
しばらく、無言が続く。
「何故、何も言わない」
「何かコメントした方がいいですか?」
摩利の視界に、豊かな黒髪が波打つのが見えた。
不本意ながらそちらに目を向けると、案の定真由美が肩を震わせて笑っていた。
「……それで、二年の壬生を言葉責めにし
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