第五十六話
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―遊戯室―
「……………………。」
「……………………。」
「……。」
通夜かよ。
俺は明らかにテンションの低い皆を見てそんなことを思った。
現在、俺達の追い出し会と言う名目で、遊戯室に集まっていた。ただ、いつぞやの歓迎会のような雰囲気ではなかった。
なんと言うか、俺達三人との別れを惜しんでる……訳ではなく、普通にテンションが低い。
悲しんでる訳じゃなくて、落ち込んでる?
「…………なぁ、春雨。なんで皆こんなにテンション低いんだ?」
俺は隣にいた春雨に小声で尋ねてみた。
「さぁ…………でも、この人たちがお酒飲む気満々だってことは分かりますけど…………。」
テーブルの上に置かれた大量の酒ビンとつまみ。いやまぁ、これで飲み会じゃないって方がおかしいんだけどもさ。それには似合わないような雰囲気だ。
何人かはまだ包帯巻いたままだし(俺もだけど)。
「えー、それでは、これより夕立、春雨、千尋の追い出し会を開催する。では、三人に一言ずつ貰おう。夕立から。」
そんな中、長門さんは俺がここに来たときと同じように開始の挨拶をする。と言うか、これってなんか言うのか。なんにも考えてねぇよ。
「…………えー、私は艦娘になってからの四年間、この呉でやってましたっぽい。それで―」
冬華は、そんな俺の心境なんかお構いなしにスラスラと語り始める。やべぇ。並び順的に春雨の次か…………考えとかねぇと…………。
間。
「…………えーでは最後に千尋。」
「…………ふぇっ?」
変な声がでた。見ると、春雨が俺にマイクを渡そうとしていた。考えるあまり全く聞いてなかったのかよ俺。
俺はマイクを受けとると、さっきまで考えていたことを脳内でパズルのように組み立てていく。ええい、どうとでもなれ。
「俺は…………ここに来て、不安しか無かった。女の子しか居ない中で上手くやってけるのか、戦えるのか、役に立つのか、いろんなことが不安だった。」
「でもふたを開けてみれば、そんなことなんてこと無かった。木曾や春雨に助けてもらったり、神通さんにおっかない訓練してもらったり、摩耶さんと勝負したり、不謹慎かもしれないけど、楽しかった。」
「そりゃあ、命がけで毎日過ごしてるからそんなことは全体の一割位だけど…………すげぇ、助けられた。だから、最後に一言だけ、皆に言いたい。」
「ありがとう。」
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