アインクラッド編
13.難敵
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度は脚を持ち上げて目の前にいるリヒティを踏み潰そうとした。
「食らわねぇよ!」
リヒティが地面を蹴り飛ばし前に出た。お返しとばかりに、何者もいない空間を踏みつけた脚にメイススキル≪トリニティ・アーツ≫を叩き込んだ。
「ガアァァァァ!!」
騎士が吠える。今度は何のブレスが来るのかと全員が身構えた、その瞬間。
「ナツ出て!」
「!」
返事をする前に、彼は動いていた。突き出したタワーシールドを炎の波が襲うが、本人にダメージは入っていない。
「分かった!ブレスを吐く種類は目の代わりになってる炎の燐光の色で決まってる!私が指示するから、ナツは火、アンは雷を対処して!毒は息を止めて!」
「さすがミーシャ!よっしゃやるわ!!覚悟せえやこんにゃろ!」
テンションが上がっているのか、どこかの方言丸出しでシルストが叫ぶ。
ミーシャもニヤリと笑って叫んだ。
「よし皆、ラストスパート・・・倒すよ!」
「「おお!」」
そこからの戦闘は、さっきまでの苦戦が嘘のように順調に進んだ。火炎ブレスはことごとくナツが受け止め、雷ブレスはアンが逸らす。腕の攻撃を俺とリヒティが弾き、シルスト、クリスティナ、タクミがソードスキルを叩き込む。
「行動不能になった!全員総攻撃!」
指示に徹していたミーシャも加わり、それぞれの得物にライトエフェクトを纏わせる。
そして。
俺達を散々手こずらせた≪Doll without the missions≫は、色とりどりのソードスキルに囲まれて苦しげな咆哮を響かせ、硬直、四散した。
しばらくの間、誰も何も言わなかった。沈黙を破ったのは、何とミーシャではなくクリスティナだった。槍を背中に戻し、ミーシャの肩にポンと手を置く。
「お疲れ様、ミーシャ。素晴らしい指揮だったわ」
「あはは、ありがとう。気づけて良かったよホント。危うく大赤字になるとこだったよ」
「見事な観察眼だった」
俺がそう言うと、ミーシャは嬉しいのか驚いているのか、何とも言い難い表情をして固まった。ミーシャのみならず、全員がそんな表情をしている。
「・・・何だ。おかしいことでも言ったか?」
「あっいや違くて!アルトに誉めてもらえるなんて思わなかったから!あ〜っと・・・ありがとね!」
確かに、誰かを誉めるのは久しぶりだが、こんなに驚かれるとは思わなかった。
「行くぞ」
「あっちょっと待って拗ねないでよ!」
「拗ねてない」
「どう考えても拗ねてるよ!」
さっさと出口に歩き始める俺をミーシャが慌てて追いかけてくる。
シルストとタクミは苦笑を、アンは笑顔を浮かべ、クリスティナとリヒティは一番後ろで手を繋いで、俺達2人に続いて洞窟を出た。
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