五つの祈り
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アルバレス軍の猛攻に倒れる仲間たち。こちらも相手を削ってはいるものの、それ以上の被害が出ており、目も当てられない。
それどころか、前日自分たちを逃がすために戦ってくれた四つ首の番犬は全員が死亡。それも、首を刈り取られ、胴体を木に巻き付けられて行進されるという屈辱付き。それを思い出したスティングは、冷静さを保つことができなかった。
「今の俺たち戦いは・・・全部無駄だってのか・・・」
瞳から零れ落ちる涙。彼はその場に崩れ落ちそうになると、二人の竜がそれを支える。
「おい!!しっかりしろ!!」
「スティング!!おい!!」
マスターとしての責任感なのか、仲間たちが傷付いている今の状況を見て彼は自らを攻めるように独り言を呟く。それを見てティオスはなおも追い討ちをかけてくる。
「そもそもこの戦争の考えが俺たちとお前たちじゃ違いすぎた。俺たちは妖精の心臓を手に入れ、イシュガルを殲滅することが目的。それに対して君たちは俺たちを撃退し、仲間を守る。一見同じようだが、その難易度は大きく違う。だがら気にしなくていいんじゃないかな?別にいいじゃない、自分が生き残れれば」
「黙れ」
彼の言葉に怒りを現したのは無精髭を生やした男性。彼は額に血管を浮かべており、今まで感じたことがないほどの殺気を放っていた。
「それ以上そのふざけた口を開くな」
大地が震えるほどの魔力を体内から放出していくギルダーツ。ティオスはそれを見ても、一切動じていない。
「ふざけた?よくそんなことが言える。そもそもこの戦争の引き金となったのは君たち・・・いや・・・違うな」
顎を擦りながらしばし思考したティオスは言葉を選びながらギルダーツに問いかけた。
「そもそも今までの戦い全てが妖精の尻尾が原因だったんじゃないか?」
「!!」
まるで全てを出来事を知っているかのような発言にギルダーツの顔が歪む。その反応を見てティオスは彼に歩み寄る。
「全ての戦いの中心にいた妖精の尻尾。だが君たちの中から大きな犠牲が出たことがあったか?今だってお前たちの初代マスターが原因なのに、自分たちはギルドに残って安全を得て、他のギルドは前線で犠牲を払って戦う・・・その罪悪感はあるのか?」
「・・・」
その言葉に何も言い返せない。妖精の心臓を守るという名目でギルドに残っている仲間たち。しかし、それは周りから見れば逃げていると捉えられてもおかしくない。
「お前たちのせいで多くの人間がこの戦争で犠牲となった・・・それなのにお前たちは平々凡々と暮らしやがって・・・」
苛立ちが頂点へと達したように見えるティオス。だが、彼のその言動に四人は違
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