Fate Apocrypha編
聖杯大戦開幕 ─再会─
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聖杯戦争だ。
杖を地面へと軽く打ち鳴らす。
途端迸る眩いまでの白銀の光。その光はウィスたちの周囲を円を描くように循環し、包み込み、その輝きを強く増していく。
その光は瞬く間に彼らを包み込み、天へと昇っていった。その光は天へと昇る最中突如消え失せる。彼らの姿は既にその場にはなく、先程までの輝きが嘘のようにその場には閑散とした光景が広がっていた。
こうしてウィスを含めた3人は聖杯戦争の舞台であるルーマニアから遠く離れた日本から飛び立った。
ウィスたち3人が向かうはジャンヌが現界した地であるフランス
─この魔女が!─
─裁きを受けろ!─
─この異端者が!─
ある者は罵倒を吐き、ある者はジャンヌへと石を投げる。周囲を見渡せば自身の死を深く悲し気に嘆く者もいた。それだけで自分は十分に救われる。
聖女と称えられたジャンヌは祖国のフランスに見捨てられ極刑を受けようとしていた。両手は拘束され、死刑の檀上へと足を進めさせられる。
一歩
また一歩と
人生の終着点へと向かう。
思えば自分の人生はあっという間であった。
一介の村娘として過ごした幼少期。
ウィスとの出会い。
ウィスの手ほどきを受けた数年。
主の啓示の名の元戦場へと赴いたこの2年。
人生とは儚く、一瞬で散るものなのだと痛感させられる。
─すみません。どなたか、どなたか十字架を!─
─どなたか十字架を頂けませんか?─
声高に叫ぶジャンヌ。だが誰も周囲の空気に流されジャンヌの懇願に応じることはなかった。
そんな混沌とした空気の中自分に親切に十字架を差し出してくれる人物が。
己の師のウィスだった。
─ありがとうございます、ウィス─
─別にお礼を言われるほどのことじゃない─
─ウィスには本当にお世話になりました。ありがとうございます─
─それはこっちのセリフだ。…なあ、ジャンヌ─
─?─
─ジャンヌは自分の人生に満足しているか?─
どこか悩まし気に此方に問いかけてくるウィス。見れば気まずげに頬を掻いているウィスの姿が目に映った。
─はい。…悔いも、迷いも、心残りもありません─
それは本当だ。この気持ちに嘘偽りなどあるはずがない。
戦場にて祖国の救済という免罪符の名の下あれだけ多くの人を殺したのだ。この報いは当然と言えるだろう。戦場へと赴いたときから覚悟していたことだ。故に甘んじて受け入れよう。
…ただあなたとあともう少しだけ共に生きたかった。
だがそれはもう叶わぬ願いだ。
─ジャンヌ。こんな俺を受け入れてくれて
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