Fate Apocrypha編
聖杯大戦開幕 ─再会─
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の右手を紅く光る魔法陣へと差し伸べる。
「──汝三大の言霊を纏う七天。」
あと残り一説を唱え切れば自身の聖杯戦争が始まるのだ。口元が歪むのを抑えられない。
「──抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ───!」
だが相良豹馬は最後の言葉を詠唱した後軽快に吹き飛んでいった。形容し難い程の衝撃を頬に受け、室内の壁へと勢いよく激突する。
相良豹馬は陥没した頬を右手で抑え、朦朧とし混乱を極める意識のなか自身を足蹴にした敵を睨みつけた。
前方には珍妙な杖を有したダークカラーのローブを着込んだ男の姿が。暗闇の中でも存在感を放つ紅き瞳が此方を強く見据えている。
一歩
また一歩と眼前の男は此方に足を踏み出し─
続けて踏み出した3歩目は相良豹馬の顔面を捉えていた。
途端自身の顔面に激痛が走る。後方の壁は大きく凹み、相良豹馬の顔面は完全に崩壊する。相良豹馬は文字通り壁の染みとなった。
魔術師相良豹馬が人生の最後に見た光景は見知らぬ謎の男の靴底であった。
六導玲霞
彼女は元来生に対して無頓着な人間であった。無論他人の命に対してもその態度は一貫して変わらない。
六導玲霞の人生はお世辞にも恵まれたものではなかったと言える。
両親は幼き頃に事故死。これまでの裕福な生活が何の前触れもなく一転し、誰にも必要とされない日々が始まった。彼女は気付けば娼婦の身に落ち、転落人生を歩んでいたのである。
このような倒錯的人生が彼女の生への渇望を徐々に奪うことになったのだ。
新宿では同棲相手である相良豹馬を養う生活をしていた。彼が自分を愛してくれていると信じ尽くしてきたのだ。だが結果はどうだ。
自分は彼から致命傷を受け、血に伏している。腹部から流れ出る血は止まらず、徐々に自身の命の灯も消えていくことを理解せざるを得なかった。
─いっ…嫌だ、死にたくない─
誰からも必要とされてこなかった。
誰も自分のことを見てくれなかった。
誰も自分のことを愛してくれなかった。
─生きたい…。私はこんなところで死にたくない─
堕落した人生を生きるしかなかった彼女は生まれて初めて心の底から願う。
よき理解者を、共に何気ない日常を享受してくれる相手を。
─生きたい。…私は、─生きたい!!─
六導玲霞は藁にも縋る思いで前方の男性へと手を伸ばし─
▽△▽△▽△▽△
聖杯戦争の舞台であるルーマニアでは『黒』の陣営であるユグドレミニアの魔術師たちは皆一様に自身のサーヴァントの召喚を執り行っていた。
令呪が宿った右手
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