暁 〜小説投稿サイト〜
悲劇で終わりの物語ではない - 凍結 -
Fate Apocrypha編
聖杯大戦開幕 ─再会─
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る。

 ウィスは気だるげに目を開け、浮遊状態を解除した。影の国の門を強く踏みしめ影の国を発つことを決意する。

 本来ならば聖杯の魔力を感じる場所へと真っ先に向かうべきなのだろうが第一の目的地は極東の島国である日本だ。

 日本からは英霊召喚に伴う魔力の高まりと魔術師の存在を強く感じる。傍には一般人らしき微弱な気も感じられた。

 今にも生命の営みが止まりそうな程弱り切っている。魔力反応はないことから一般人であろうか。英霊召喚を円滑に進めるべく攫われた可能性が高い。なら先ずはその一般人の救出が最優先事項だ。


「──行くのか、ウィス?」

 そんなウィスに問いかけるはスカサハ。どうやらウィスが世界の表側へと意識を向けている刹那の間にこの場へ来ていたらしい。

「ああ。」

 ウィスは振り返ることなく肯定の意を示す。これまでスカサハと幾度なく繰り返したやり取りだ。彼らに多くの言葉など必要ない。

 スカサハ自身そのことを気にしてはいない。

そう、ウィスが自分の元に無事に帰って来るのならば。

「そうか。

──行ってこい。」

だが帰ってきたら根掘り葉掘り聞かせてもらからな。

「ああ、

──行ってくる。」

 ウィスは背中に何か薄ら寒いものを感じながら影の国を飛び立った。







▽△▽△▽△▽△







「──告げる。

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。」


 此処は極東の国である日本の新宿。

 人々は既に寝静まり、闇の住人たちが動き出す時間である。そんな深夜の新宿のとあるホテルの一室には二人の男女の姿があった。

 男性は先程から何かをしきりに口ずさんでいる。そう、聖杯戦争にて使役する自身のサーヴァントを召喚するための呪文だ。

 魔術師である相良豹馬は全てが順調に進んでいることに内心ほくそ笑む。全てが自身の掌の上だ。

 召喚するサーヴァントは世界に名を轟かせた殺人鬼、ジャック・ザ・リッパー。件のサーヴァントを召喚すべくジャック・ザ・リッパーが実際に使用したとされるナイフを召喚の触媒として用意した。

 だが万事を期すべく一人の女を生贄にすることで当時のジャックの犯行現場を再現したのである。

 見れば彼の眼前には力なく床に倒れる一人の女性の姿があった。彼女の目に覇気はなく、意識は朦朧とした状態である。

 女性の名前は六導玲霞。

 相良豹馬が暗示をかけ同棲相手として利用していた女性である。だが既に彼女は用済みだ。後は間もなく召喚されるであろうジャック・ザ・リッパーの生贄にするだけである。

 相良豹馬は令呪が浮かぶ自身
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