Fate Apocrypha編
聖杯大戦開幕 ─再会─
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張り巡らすことで一種の気の圧力の壁を創り出しているのである。
辺りに散乱する瓦礫や岩石がウィスの気の影響を受け浮遊と崩壊を幾度となく繰り返す。ウィスの周囲の空間は影の国と同様に世界から隔絶された空間を創り出していた。
そんなウィスの意識下にて妙に強く感じる魔力が現れた。
ウィスは深く閉じていた紅き瞳を大きく見開く。周囲に浮遊していた瓦礫と岩石は眼下に落ち、影の門から堕ちていく。だがウィスはそんな些細な事を気にとめることはしない。ウィスは浮遊状態を解除し影の門をその足で強く踏みしめた。その紅き眼が捉えているのは影の国の前方にて広がる凄惨とした風景ではない。ウィスの瞳はその遥か先、世界の表側へと向いていた。
ウィスは影の国の門の宙へと再び浮遊することで宙に座し、瞳を閉じ──
──知覚範囲をこの星の表層の隅々へと張り巡らせた。
ウィスの知覚範囲は容易にこの星の全域へと及んでいる。この星はもちろん宇宙の彼方までウィスはその知覚範囲を広げることを可能にしているのだ。
これまで幾度も感じた聖杯の起動に伴う魔力の高まりを感じる。過去においても魔術師どもによる聖杯戦争に伴う被害者の救助に当たってきたが今回の聖杯戦争はどこか歪だ。
聖杯の魔力がこれまでとは比較にならない程に高まっている。第二次聖杯戦争以降冬木の聖杯システムが漏洩したことにより世界の各地で小規模の聖杯戦争が開催されていたことは知っている。だがそのどれもが冬木の聖杯とは一線を画する劣化聖杯であった。自分はその偽りの聖杯戦争には関与していない。だが此度の聖杯は冬木の聖杯と遜色ないレベルだ。
つまり今回の聖杯戦争にて用意される聖杯は冬木の聖杯そのものであることを意味する。どうやら魔術師の連中は冬木から奪取した聖杯を用いて新たな惨状を作り出すつもりらしい。
世界は魔術師たちの手により再び混乱の渦へと巻きこまれることになるのだ。此度の聖杯戦争に対する違和感をぬぐいきるにはまだ情報が圧倒的に足りない。
だが現状にて不確かなことは多々あるがただ一つだけ確かなことがある。
──聖杯戦争が始まる
万能の願望器である聖杯を巡る聖杯戦争。
魔術師たちは再び聖杯戦争を起こすつもりなのか。過去の聖杯戦争にて聖杯が顕現した事例など存在しないにも関わらずだ。奴らは過去の聖杯戦争から何も学んでなどいない。誰が一般市民の被害を抑えていると思っているのだ。
魔術師どものくだらない悲願を成就するべく開催される聖杯戦争。本当に、実にくだらない。聖杯などという万能の願望器を巡る魔術師どもの戦争。実に愚かで、人には手に余る代物だ。
やはり魔術師どもはろくでもない連中であることを痛感させられ
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