旧校舎のディアボロス&戦闘校舎のフェニックス
邂逅
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と見つめている。男はそんな彼女に優し気な表情を浮かべながら声を発した。
「大きくなったな、朱乃。」
「─。」
その一言で姫島朱乃は確信した。
ああ、やはり、間違いない。
彼だ。
約10年の月日が経過したにも関わらず今でも彼は何故か当時の姿のままだ。
そのことに疑問は尽きない。
だが今はそんなことはどうでもいい。
今自身の目の前に彼がいるのだ。
彼の存在を今すぐにでも確かめたい。
というか彼の腕の中で眠っている女性は誰だ。
いやはぐれ悪魔バイザーの被害者である女性であることは分かっている。
だが! だが! だが!
羨ましい! 羨ましい! 実に! 実に!羨ましい!
変われ、今すぐ! その場を!
だが曇り無き笑顔を浮かべている彼の前でそんな粗相を起こすわけにはいかない。
ならば後ろから!背中越しはフリーだ!
よし行け、姫島朱乃!
朱乃は長いようで短い刹那の思考の末リアスたちの目を憚ることなくウィスへと飛びついた。
──背後から。
時は経ち此処は駒王学園の裏校舎のオカルト研究部の部室。
はぐれ悪魔バイザーの討伐は既に件の男により行われていた後であった。故にリアスたちはバイザーが起こした被害の事後処理に奔走することになった。被害者の女性は今夜の記憶を上手く改竄した後彼女の家へと無事送り届けてある。
「…それで、あなたが昔窮地に陥った朱乃を救ってくれた人物で間違いないのよね?」
向かい合う形で件の男と話すはこの部の部長であるリアス。既にはぐれ悪魔バイザーを屠ったのが彼であることは分かり切っている。ならば後は彼と自身の懐刀である朱乃との関係を問いただすだけだ。
いや、まあ。別に聞く必要もないと思うが。さっきから朱乃がこちら側から見て彼の右隣を陣取っているのだから。幸せオーラを全開に彼の左腕に抱き着いている。
あー、少し羨ましい。心から甘えることができる男性がいて。いや、切実に。
というか小猫までちゃっかり彼の膝上に座っているのだが。
本人曰く懐かしい臭いを彼から感じるらしい。
いや、何で?
男が肯定するように首肯する。見れば彼は優雅に紅茶を飲みながら此方をその紅き瞳で見据えていた。どこか底知れなさを感じさせる男性だ。
だが服装が全てを台無しにしているが。
男は薄手のTシャツを着込み、ズボンはストレートパンツをはいている。白の無地のTシャツには大きく『破壊』とプリントアウトされていた。
どうやら服装センスはいまいちのようだ。
「…そう。私の眷属の女王である朱乃を救ってくれ
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