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。購入できた人へのインタビューも見ていたらほとんど男だったし、実際俺が買いに行った時も圧倒的に男が多かった。
「で、どうしよう」
「え?」
キリトが彼にしては珍しい間抜けな声で、俺の言葉に返事をした。
「だから、ドロップしたのはキリトだけど、発見したのは俺だろ。どうすんのさ」
「うぐっ」
「その様子だと一人でネコババしようって魂胆だったな?それだけは許さんぞ。なんならオレンジになることも辞さん」
食い物の恨みというのは恐ろしいのだ。今まで二年、戦い続けてきてS級食材なんてみたこともない。ぜひとも食べたい。死ぬほど食べたい。
ここしばらく肉という物を口に出来ていないのだ、やっぱり食べたい。いや実際は二年以上何も食べていないことになるのだろうけれど。
「っていっても俺の料理スキル最近やっと800に乗ったとこだから、失敗の可能性もあるからな」
「じゃあ売るか。売って等分にするってのはどうだ?」
「そんなのもったいないよ。せっかくのS級だぞ」
「かといってシェフのアテはないんだろ?」
食いたいのなら、俺が調理すればいい話だ。だがそれで失敗してしまっては元も子もない。ならば売って金を山分けにする方が、よほどいいのではないだろうか。そう思えてきた。
「そう……だな。売るか、売っちまおう。エギルの奴にせいぜい高値でふっかけてやろう」
「それがいいな」
「出来た金で、ちょっといい値段の肉買って、料理してやるよ。それでいいだろ」
「ありがとう!!シェフ!!」
歓喜の声で俺に礼を言ってくるキリト。これには苦笑してしまうが、彼もしばらく肉という物をあまり食べていなかったのだろう。その反応は同意せざるを得ない。
ついでに俺が最近思っていることをキリトにも聞いてみることにする。
「最近さ、思い出したりしないか?はじまりの日のこと」
「ああ……奇遇だな。ちょうど迷宮区に居た時に、まだゲームだった頃を思い出してた」
このデスゲームが始まってからもうそろそろ二年が経過しようとしている。やはり思い出すこともあるのだろう。キリトも同じなのだから、他のプレイヤーの中にも少なからず同じように感じるプレイヤー達もいるだろう。
帰りは、俺たちの始まりの日談義になった。二人もいるんだから、結晶を使うのは勿体ない、という結論に至ったせいもあるが。
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