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魔法科高校の劣等生 〜極炎の紅姫〜
バカ騒ぎの始まり
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「いいのいいの。これが仕事だから。
気をつけてね。二人とも可愛いし一科生なんだから……真っ先に勧誘されるわよ」
可愛い、と言い切った深紅に、ほのかが微かに?を染める。
「わかった。気をつける」
一方の雫は神妙な顔−−彼女はこの表情をほとんど動かさないが−−で頷いた。
「うん。じゃあわたしは行くね」
そう言って深紅が手を振ると、頑張ってと声がかけられたのだった。
??????
−−−もういい加減にしてよ……!
深紅はついに心の中でそう叫んだ。
−−−たかが高校生の部活勧誘でしょ。どうしてこんなに揉め事が多いのよー!
そう。彼女が行く先々で、いちいち面倒な揉め事が起こるのだ。
巡回を初めて三、四十分ほどしか経っていないのだが、深紅は心身ともに疲れ切っていた。
−−−わざわざ、こんな勧誘テントの中心を回る方がいけないのよね。よし、この場を離れよう。
思い立ったが吉日。深紅は即座にその場を離れるのだった。
−−−やっと静かになった……。
校庭から遠く離れたところに来て、深紅はほっと一息ついた。
別に巡回をサボっているわけじゃないよね、と誰に言うでもなく言い訳を考える。
「……彼の力は我々に必要だ」
「必要……私たちに」
すると突然、男女のそんな会話が深紅の耳に飛び込んで来た。
素早く木の陰に隠れて、声のした方を伺う。
そこに立っていたのは、メガネをかけた男と、ポニーテールの美少女だった。
二人とも剣道の袴を着ている。
「そうだ。彼をしっかり勧誘しろ」
「わかりました……司主将」
それだけ言うと、二人はその場を去っていった。
−−−どう見ても恋人同士じゃないわね。
勧誘、は部活のことかしら。“彼”って一体……?
深紅はモヤモヤとした思いを抱えたまま、しばらく木にもたれかかっていたのだった。
??????
昇降口で、達也は見知った顔が並んでいるのを見つけた。
「お兄様」
「達也っ」
真っ先に声をかけたのは深雪で、真っ先に駆け寄ったのは深紅だ。
「お疲れ様、達也。聞いたわよ、大活躍だったってね」
「大したことはしていないさ。深紅もお疲れ」
ほとんど無意識に、達也の右手が深紅の頭に降りた。
長い髪を梳くように撫でると、深紅は一瞬顔を赤くしながらも、気持ちよさそうに目を細める。
その表情を見た達也の顔も、知らず知らずに緩んでいる。
「な、なぁ。こいつら付き合ってるわけじゃないんだよ、な?」
その甘ったるい雰囲気に耐えられず、レオが小声で深雪たちに尋ねる。
「いつ付き合ってもおかしくないんですが、お二人とも奥手なので……」
その美しい顔に苦笑を浮かべる深雪。
「見ていてもどかしいわよね」
半目にした両目を二人に向けるエリカ。
「……なんか、すごく絵になってますね」
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