第3章 リーザス陥落
第105話 怒りと笑み
[9/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ここで私達が負けてしまえば、人類は終わります。それは神も望んでいない筈でしょう。……私は死んでも皆さんを治します。セルさん。頑張りましょう」
「は、はい!」
クルック―とセル。
AL教の神官である彼女達も流石の魔王を前には身体が固まってしまっていた。何とかユーリを回復する事は出来たが、回復する為に魔王や魔人に深く近づき過ぎてしまった。前にはユーリがいてくれて、リックや清十郎も同じくカバーをしてくれたのだが、それでも圧倒的な魔の気配をその身に受けた。それは他の誰よりも強く現れていた。
でも、それを精神力で振り払い、他の者達と同じ様に戦う事を強く胸に想いながら身体を奮い立たせる。ここで崩れれば終わりである事を強く意識して。そして 絶対に皆を守る事を意識して。
「……自棄を起こしてるって訳じゃなさそうだな。ほんと……お前ら人間ってヤツは……っ!」
この中では人間よりは 魔王や魔人に強さにおいても種族においても近いと言って良い存在の悪魔フェリス。それでも、相手2人は……従者位置になっているノスに至っても遥かに自分自身を凌駕している。あの2人に抗えるのは 悪魔であっても上級悪魔に分類される者でしか無理だと言う事はフェリスにも判る。
でも不思議と逃げると言う手は考えられなかった。例え命令が無くても、ここまで深く関わってしまった者達を見捨てて逃げる様な事は……。
「マリス……」
「はい。……皆さんを、ランス様を、ユーリさんを……信じましょう」
「……うんっ」
リアとマリス。
魔王ジルが降臨した時点で その身体を震わせ立つことも出来なかったリアの傍にマリスが身を徹して守りに入っていた。決して口には出さないが、魔王が現れた時 死を意識した。ランスが率先して駆け出していったが、それでも希望は一切見えなかった。だからリアよりも先に、一秒でも長くリアを生かす為に、いや 身代わりにさえ考えていたのだが、もう1人の男のおかげで考えが180度変わった。
死ではなく生への執着へと。
そんな人間達の眼に希望の光が再び瞬き、灯るのを感じたのだろうか、ジルはゆっくりとした仕草で口許へ手を宛がい、仄かに笑みを浮かべていた。
「―――久しい、な。この、感覚」
思い返すのは、魔剣カオスを手に挑んできたガイとその仲間達との決戦。
魔王を前にしても決して怯む事なく、臆す事もなく挑んできた人間達。結果は――ガイの自滅と言う形ではあるが、勝利を収め、ガイの仲間達は全滅。ガイ本人も魔人化させた。
そして月日は流れ、運命の再戦の場。
愛人であり魔人筆頭ガイの謀反。魔剣カオスを携えただけでなく、同じく魔王を斬る事が出来る 聖刀日光 を携えた当時の勇者が同行し 遂には心臓を貫
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ