第3章 リーザス陥落
第105話 怒りと笑み
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ムであり、特定の人物を殺して終わりと言う訳ではない。殺したとしても新たな勇者が生まれてくるだけだから。だからこそ、人類の調整は欠かせないものだった。殺しはしない限り、人間に何をしても良いとし、更に狂ってしまわない様に人間達よりもさらに下級生物がいることをも示した。それが《人うし》。人うしの選出は人間達が決め、四肢と舌を切り落とし、愛玩動物同様に扱う。
魔物が人間に何をしても良いように、人間達もまた 人うしに何をしても良い。こうやって人類は終わりのない悪夢を円滑に循環させられ続けた。それが魔王ジルの時代 GL期だった。
人間を甚振り続ける。それを永遠に。抑えきれぬ怒りのままに、ジルは人間を甚振り、苦しめ続けた。
そして、数年後。
『漸く捕らえたぞ。魔王!』
『さっさと斬っちまえ〜! ワシに魔王の血を寄越せ〜〜!! 思う存分味合わせろ〜〜!』
魔剣カオスを携えた人間が目の前に現れた。
その男はあらゆる魔を、剣を極めた魔法戦士だった。その名はガイ。
魔人を……魔王をも斬れる魔剣を手に、快進撃を見せ続け、等々 魔王の前にまで迫った。
だが、ガイには精神面に弱点があった。
二重人格と言う特性をもち、善と悪の二つの精神を持つガイは、ジルに後一歩まで迫った所で、精神を悪に乗っ取られてしまった。
『……面白い、な。私はお前が気に入ったぞ。……ガイ』
その隙をジルは逃さない。
ガイはその後 人としての生を終えてしまった。
これから歩む生は――魔人としての生だった。
ジルは怒りしか湧かなかった筈の自分自身に違和感を覚えた。ガイを前にし、判らない感情に覆われる。
そう――自分自身が笑っている事に気付いたのは ガイとの戦闘を終えた数時間後の事だった。
そして幾星霜。
あの時と同じものを、……目の前に似た匂いのする男を見た。
使っているのは剣のみであり、今魔は使って無い筈なのに潜在的なものを確かにジルは見た。
嘗て自分を狙い、そして最後には殺したガイに近しいなにかを。
―――お前……気に入った。
「ッッ!」
瞬速の連撃。今持てる全てを込めた奥義。確かにいきなり魔王に通じるとは思ってなかったが、通じなかった以上に そこになにかを見た。禍々しいなにかを。
「ぐっ、あ……! クルックー!! セル!! 頼む!!」
強大な何かに呑まれる前に、ユーリは力の限り声を上げる。
奥義使用の反動で、全身に耐えがたい苦痛、虚脱感も感じていたが 今はそれどころではないから。
清十郎とリックに抱えられた2人が直ぐに傍にまでやってきておろした。
そして2人を挟む様
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