第3章 リーザス陥落
第105話 怒りと笑み
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――剣、極。
――魔、極。
無数の剣閃を浴びたジルは、永遠とも思える封印を受けていたのにも関わらず、今だ忘れる事の出来ない過去を思い返していた。
ここで少し 昔話をしよう。
それはジル自身がまだ魔王ではなく 人間だったあの時代の物語。……悲劇の物語。
ジルは美しく蒼い輝きを持った瞳と髪。そして何よりも聡明な賢者であった。その事によって嫉妬心が周囲から沸き起こっていた。
一部の者達を洗脳、唆し ジルは魔物の使いである事。いずれ人間に害を及ぼす者であると信じ込ませ、ジルにとっては全くいわれのない迫害を強く受け、暴行、拷問を受け続けた。
この世のありとあらゆる痛みを苦しみを苦痛を浴び続けた。地獄があるのなら あの時程のものはないだろう。だからこそ、懇願し続けた。
『死に、たい……。ころ……して……』
長く苦しむくらいならば殺して欲しいと思うようになった。だが、この先は残酷そのものだった。
最後には四肢をも切断されて放置された。
そのまま死を待つしかない途切れかけた意識の狭間で、ジルの想いは変わった。
『……ころして……やる。…………ころし、て、やる』
死を間近に憎悪を滾らせた。
――全てを……、全ての人間を殺す。
その激しく果てが無い怒り、負の感情は その時代の魔王《ナイチサ》さえも呼び寄せるものだった。
――娘よ。何を望む?
魔王はジルに問いかける。
その問いの答えは決まっていた。
『全て殺す。……人類の、滅亡』
激しい怒り。憎悪。その全てをその一言の中にナイチサは視た。
――面白い。貴様に全てをやろう。私の力を、知識を。全ては貴様の望むがままに。
こうして、ジルは魔王となった。
継承者の資質があったからとは言え、まるでナイチサそのものを吸収するかの様に、瞬く間に全てを継承した。
先代魔王ナイチサの記憶も同時に継承していた。彼の唯一の失敗は勇者の存在だ。人類の残数とその勇者の強さは関係していることを。人類の数が減れば減る程 勇者の強さは覚醒、解放されていくことを。
だからジルは、人類を虐殺するのではなく、奴隷化して生き地獄を味合わせる方法をとった。そう、かつて人間だった自分がされたことを全人類に。
その時の人類はまさに地獄だったと言えるだろう。夜に灯りをともす家はなく、ただ只管に息を殺して魔物に見つからないことを願い、朝になり命あることに感謝する。それが日常になっていた。 人間牧場とよばれる 人間を大量生産する事を目的としてつくられた施設で、人類の数を調整し、勇者の力を削ぎ、ついにはその時代の勇者をも殺してのけた。
勇者とはシステ
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