ペルソナ3
1997話
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鍛えている人間でも、休みなく全力の全身運動はそう続けられるものではないのだから。
「ほら、これでも飲め」
空間倉庫から取り出したペットボトルのスポーツ飲料を天田に投げ渡すと、俺はゲイ・ボルグを手にして軽く運動する。
それこそフラフープ……というのはちょっと違うが、そんな感じでゲイ・ボルグを振り回す。いや、寧ろこれは新体操のバトンとかそういうのの方が相応しいのか?
そんな風にも思うが、そのままゲイ・ボルグを構える。
それから一瞬だけ視線を天田に向け、その天田がスポーツ飲料を手に持ちながらも俺の方を見ているのを確認し……そのまま、ゲイ・ボルグで突きを放つ。
空中を貫く槍は、放った俺が見ても満足出来る鋭いものだった。
だが、鋭いからこそ、それで満足してはいけないというのも、また事実なのだ。
再度放たれる一撃は、今の突きよりも少し……ほんの少しだが、鋭い。
身体の捻り、腕の使い方、足からの力を可能な限りロスなく放つ。
そんな行動を意識しながら放つ突きは……気が付けば、100回近くなっていた。
その事に気が付いて突きを止めると、改めて視線を天田の方に向ける。
そこでは、天田が俺の方に視線を向け、ただじっと……それでいながら目を輝かせている。
槍の訓練はしてやらないと言ったが、取り合えずここまで来たんだからって事でちょっと突きを見せたんだが……もしかして、少しやりすぎたか?
「さて、どうする? もう少し俺と遊んでいくか?」
「はい!」
即座に返事をすると、再び天田は俺に向かって突きを放ってくる。
その突きは最初に俺に放った突きよりも、どこかぎこちない。
俺がやっていたように、きちんと動けるかどうかを考えながら突きを放っているのだろう。
今はまだぎこちないが、それでも繰り返していけばこれがスムーズになっていくのは間違いない。
……問題なのは、そうしてスムーズになっていった天田の槍の穂先が向けられるのが、荒垣だって事だろうな。
訓練をしながら、どうにか天田に仇討ちさせないように……もしくは、仇討ちをするにしても荒垣の命を取るのではなく、何か別の方法で償わせるといった方向に話を持っていく必要がある。
もっとも、そのような真似が簡単に出来るのであれば、それこそここで悩むような必要はないのだが。
そうして再び時間が経ち……全力で行動しては休んで、そしてまた全力で行動して……といった事を繰り返している間に、気が付けば草原は夕日によって赤く染められていた、
「うわぁ……」
真っ赤に染まった草原を見ながら、天田の口からは感嘆の声が出る。
小学生なら夕日とかは見慣れていてもおかしくはないが、東京に住んでいる天田にしてみれば、これだけ広大な草原は初めて見るのは当然
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