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天使のような子に恋をした
天使のような子と一緒に帰った
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た。いや、ほんとに近いな。
 結局、俺は南さんの姿が見えなくなるまでその場に立ち尽くしていた。

 さっき彼女が放った言葉──真意は分からないけど、もしかしたら南さんは俺のことが──

「……んな訳ないか」

 あんな美少女がこんな俺を好きになる訳がない。くだらない夢物語を見るのはやめよう。かえって自分が悲しくなるだけだ。

「でも、本当だったら嬉しいかな」


 かと言って、全ては諦めてなかったり。

 もしかしたら──もしかしたら可能性があるかもしれない。そんな淡く儚い希望を抱きながら、俺は家の中へと歩を進めた。







 それがつい一日前の話。やはり運命の出会いとしか思えない。
 ちなみにそう思い始めたのは、家に帰ってからのこと。よくよく考えてみたら「あれ、運命の出会いってこのことじゃね?」と。

 あんな出会い方って極稀だろうし、家だってかなり近い。これをただの偶然で済ますって方が無理がある。やっぱり運命だったんだよ。

 でも、未だに俺の本当の気持ちは分からないんだけど。

「あ、あの、神崎くん」

「ん?」

 隣で歩いていた南さんに声を掛けられる。

 ちなみに現在は登校中。さっき家を出たところ南さんとばったり出会した。何でも、神田明神へ朝練に行くらしい。スクールアイドルって朝練するほどハードなのかと驚いた。

「今日の放課後、空いてるかな?」

 昨日のように心臓がドクンと跳ねる。これは、まさか。期待しても良いのだろうか。
 いやでも落ち着け。昨日出会ったばかりなのに流石に早いよな。きっと別件に違いない。

「うん、とりあえずは空いてるけど」

「良かった。あのね、神崎くんのことみんなに紹介したいと思ってるんだけど……」

「──はい?」

 ──神崎蒼矢。俺の周りでこれまた波乱が訪れそうな、そんな予感がしてならなかった。

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