暁 〜小説投稿サイト〜
天使のような子に恋をした
天使のような子と一緒に帰った
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
でお互いが饒舌だったのが嘘みたいだ。

 さっきまでの会話は翔真が盛り上げてくれていたんだ。だから俺も積極的に話すことが出来たし、南さんも楽しそうだった。

 生憎ながら俺は翔真のようなコミュ力は持ち合わせていない。彼の高いコミュ力。それが人望の厚さの理由の一つだ。

「……とりあえず行こっか」

「う、うん。そうだね」

 沈黙に耐えかねてようやく出せた言葉がたったのこれだけ。確かに会話になり、動きがあったのはいいものの、それはほんの一瞬。再び沈黙が俺と南さんの間を通り過ぎていった。

 何か、何でもいいから話題はないか。会話のきっかけを作ろうと全力で思考を張り巡らす俺だったが、中々思い付かない。
 その時だった。俺の目にあるものが飛び込んできたのは。

「あっ……ここ、俺の家なんだ」

 立ち止まったのはとある家の前。ありふれた一般家屋。どこにでもあるような家だが、その家の表札には『神崎』とあった。

 そう──紛れもなく俺の家だ。

「えっ、うそ……ここ、神崎くんのお家だったんだ」

「あれ、知ってるの?」

「うん、知ってるというか……ここ、よく通るんだ。だから見慣れてるんだよね」

「なるほど……」

「それに、私のお家と100メートルくらいしか離れてないから、吃驚しちゃって」

「……ま、マジですか」

 予想以上に近かった。いや、近いなんてもんじゃない。歩いて1分掛からないじゃないか。翔真の家に行く方が時間掛かるぞ。
 ある程度家が近いことは予想していたけど、まさかこんなに近いとは思わなかった。

「送ってくれるのはここまででいいよ。家も近いし、すぐに帰れるから」

「あっ、うん。それじゃあ気を付けてね……はおかしいか」

「もう、流石に大丈夫だよぉ、ふふっ」

「あははっ、だよね」

 クスクスと楽しげに微笑む南さん。そんな彼女につられて俺も笑う。
 やっぱり──可愛いな。南さんの笑顔を見てると癒されるような気がするし、胸が締め付けられるような感じがする。

 これが、恋というものなのだろうか。

「それじゃ、またね。また会う機会があれば、だけど」

「ううん、会えるよ。家もかなり近いし、会えなかったとしても私が会いに行くから」

「えっ? それって──」

「……あっ。えっ、えっと! 何でもないの!」

 南さんの顔がみるみる赤くなってゆく。

 聞き間違いじゃなければ南さんは会いに行くって言ってたよな……?
 それってつまり──

「も、もう帰らなきゃ! さようなら神崎くん!」
「あっ、うん。さようなら」

 俺に背中を向け、パタパタと小走りで帰ってゆく南さん。数十秒後、南さんはとある家の敷地内へと入っていっ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ