天使のような子と一緒に帰った
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でお互いが饒舌だったのが嘘みたいだ。
さっきまでの会話は翔真が盛り上げてくれていたんだ。だから俺も積極的に話すことが出来たし、南さんも楽しそうだった。
生憎ながら俺は翔真のようなコミュ力は持ち合わせていない。彼の高いコミュ力。それが人望の厚さの理由の一つだ。
「……とりあえず行こっか」
「う、うん。そうだね」
沈黙に耐えかねてようやく出せた言葉がたったのこれだけ。確かに会話になり、動きがあったのはいいものの、それはほんの一瞬。再び沈黙が俺と南さんの間を通り過ぎていった。
何か、何でもいいから話題はないか。会話のきっかけを作ろうと全力で思考を張り巡らす俺だったが、中々思い付かない。
その時だった。俺の目にあるものが飛び込んできたのは。
「あっ……ここ、俺の家なんだ」
立ち止まったのはとある家の前。ありふれた一般家屋。どこにでもあるような家だが、その家の表札には『神崎』とあった。
そう──紛れもなく俺の家だ。
「えっ、うそ……ここ、神崎くんのお家だったんだ」
「あれ、知ってるの?」
「うん、知ってるというか……ここ、よく通るんだ。だから見慣れてるんだよね」
「なるほど……」
「それに、私のお家と100メートルくらいしか離れてないから、吃驚しちゃって」
「……ま、マジですか」
予想以上に近かった。いや、近いなんてもんじゃない。歩いて1分掛からないじゃないか。翔真の家に行く方が時間掛かるぞ。
ある程度家が近いことは予想していたけど、まさかこんなに近いとは思わなかった。
「送ってくれるのはここまででいいよ。家も近いし、すぐに帰れるから」
「あっ、うん。それじゃあ気を付けてね……はおかしいか」
「もう、流石に大丈夫だよぉ、ふふっ」
「あははっ、だよね」
クスクスと楽しげに微笑む南さん。そんな彼女につられて俺も笑う。
やっぱり──可愛いな。南さんの笑顔を見てると癒されるような気がするし、胸が締め付けられるような感じがする。
これが、恋というものなのだろうか。
「それじゃ、またね。また会う機会があれば、だけど」
「ううん、会えるよ。家もかなり近いし、会えなかったとしても私が会いに行くから」
「えっ? それって──」
「……あっ。えっ、えっと! 何でもないの!」
南さんの顔がみるみる赤くなってゆく。
聞き間違いじゃなければ南さんは会いに行くって言ってたよな……?
それってつまり──
「も、もう帰らなきゃ! さようなら神崎くん!」
「あっ、うん。さようなら」
俺に背中を向け、パタパタと小走りで帰ってゆく南さん。数十秒後、南さんはとある家の敷地内へと入っていっ
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