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真田十勇士
巻ノ百二十八 真田丸の戦その十三
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「ならば確かな者達、嘘を言うことはない」
「そう言って頂けますか」
「その様に」
「我等のことを信じて頂けますか」
「うむ」
 その通りだとだ、木村は十勇士達に確かな声で答えた、
「その通りじゃ、そしてじゃ」
「有楽殿はですな」
「幕府の回し者として」
「茶々様に」
「申し上げよう」
 是非にと言うのだった。
「そうしてじゃ」
「有楽殿を除くか」
「そうします」
「それは出来ぬ」
 後藤は木村に無念の顔で答えた。
「あの方は茶々様の叔父上、だからな」
「絶対の信任を得ておられて」
「それでじゃ」
 だからだというのだ。
「我等が何と言ってもな」
「それでもですか」
「信じてくれぬわ」
「そうですか」
「だからこのことは諦めるしかない」
「ですが」
「言っても仕方ない、だからここはな」  
 どうするかをだ、後藤は木村に話した。
「思う存分勝ってな」
「そしてですか」
「外に出ようぞ、こうなれば機を見て外で戦い」
 そしてというのだ。
「大御所殿の御首を手に入れねば」
「それが出来ればな」
 後藤も幸村に応えて言う。
「我等の勝ちは間違いない」
「ですから」
「それを目指しておるか」
「茶々殿にもお話をしたいです」
「ではお話出来る流れを確実にする為にじゃ」
 是非にとだ、後藤は幸村に言った。
「もう一戦、それで無理ならな」
「もう一戦ですな」
「そうしていこうぞ」
「では次の戦も」
 木村は幸村と後藤に強い声で申し出た。
「及ばずながらそれがしも」
「出られるか」
「そうしたいです」
「うむ、ではな」
 後藤は木村に顔を向けてそのうえで応えた。
「共に戦おうぞ」
「有り難きお言葉、ではな」
「もう一戦」
「勝つ、そして我等が外に出てな」
「そのうえで大御所殿の本陣を目指し」
「一気に勝とうぞ」
 家康の首を取ってというのだ。
「そうしようぞ」
「さすれば」
「大砲がすぐ近くに来ては駄目じゃ」
 その時点でとだ、幸村が話した。
「そうなれば後はな」
「砲撃の音で、ですな」
「茶々様のお心を攻められてしまうわ」
 大坂の実質的な総大将のというのだ、戦のことが何もわかっておらぬうえに大砲の音と同じく轟音の雷の音に弱い彼女を連日連夜だ。
「そうなってはな」
「終わりじゃな」
「まさに」
「だからそうする、では次の戦の時は」
 さらに話す幸村だった、今度は十勇士達に向けて。
「拙者はここを動けぬが」
「はい、殿はですな」
「この真田丸が持ち場故に」
「外に打っては出られぬ」
「若し殿がここを出られれば」
「幕府はそれこそ全力で真田丸を攻めてじゃ」
 そうしてというのだ。
「攻め落とされるわ」
「そうなってはです
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