第六章 オールアップ
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であろう。定夫の肩が、全身が、そして黒縁眼鏡のフレームが、傍目にも分かるくらい激しく。
敦子の問いに、ようやく定夫は口を開き、震える声を発した。
「すすっ、すっすっ、すっすっ、凄いっ。ぎゃ、逆にっ、逆に凄いっ」
なにが逆なのかは分からないが、感動に打ち震えていることに違いはないようである。と、そんな彼の反応に、敦子は改めて照れたように笑い、頭を掻いた。
「いやあそんな、ただ自分で歌を作ってみたというだけで、ええと編曲っていうんですか、カラオケみたいな、ああいうのはないんですけど」
「かっ、きゃっ、かっ、構わないっ! つつっ作ろう、このこの曲きょくっ、絶対にいい! つつっ使いたい! ……どっどどどどうにかして、へへ編曲を、したいところであるが」
「こんな感じかなーという伴奏の音色は、頭の中にはしっかり入っています。譜面に起こすことくらいなら、出来ると思います。以前に、ちょっとだけかじっていたことあるので。といっても楽器は全然ひけませんけどね。小さい頃にピアノを習っていたくらいで」
「なら、う、う、打ち込みで、やろう。あ、あつっ、あつっ、あう敦子殿にががが楽譜だけ、作ってもらっれ、うち打ち込みじぇ。八王子が、コンポーザーソフト、もも持ちてるっ」
「なんですか、それ」
「かっ簡単にいうとっ、るいるいっ、音楽を、プログラム演奏させさせるソフト。八王子、『はにゅかみっ!』のパッションエブリデイとか、みっ耳で聞いてコピーして打ち込んで、かっかなり忠実だったし、そ、そ、そ、それだけでなく、きっ器用にアレンジなんかも、していたし。ああ後でほほっ本人に相談して、みるけど、おっおそらく技術的には問題ないかと」
「うわ、凄いんですねえ、八さんって」
「たたたた確かに。パ、パッコン使わない創作系は、おれ同様に、てんでダメだけど、パソコン使ってのての作業だと、一人でなななんでもハイレベルでこなしてしまうところはある」
「期待大ですね。引き受けてくれるといいなあ」
「それで、歌は、あ、あつっ、あつ、あつっ、あつっ、敦子殿っががっ歌う、と」
「え? あ、あ、あたしがですかあ?」
曲を提供するだけのつもりだった。ということなのだろう。
「さっきの歌、上手だったし、もっ問題ない、思うけど。主人公の、声優でも、あっあるわけで」
「うーん。それじゃあ、挑戦してみようかなあ。ちょっと緊張しちゃいますね。……あのお、実は曲だけじゃなくてえ、エンディングの映像も頭に浮かんでいるものがあるんですよね」
「映像?」
「はい。モノクロ水彩画の止め絵で、なにか着ているのか裸なのか分からないような、シーツにくるまったほのかが丸くなって眠っているんです。でも最初はアップで、なんの映像か分からなくて、ゆーっくりカメラが回りながら引いて、だんだんと全体が
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