第六章 オールアップ
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、
がああ、
ぜいぜい、
ぜい、
「いい加減、回復してくださあい!」
青空の下に、敦子の怒鳴り声が轟いた。
「いつまでぜいはあやっているんですかあ。三人とも、体力なさすぎですよお」
「あ、あ、あと、三十分」
「ダメですっ。あと三十秒にしてください!」
鬼であろうか。
三十秒間、精一杯ゼイハアした定夫たちは、観念し、よろけながらなんとか立ち上がった。
相変わらず足元ふらふらで、肩を大きく上下させている状態であるが。
「ここまで回復しないほどスタミナがないのに、よく最初の一分で倒れませんでしたね。というか、よく最初の一歩を踏み出すことが出来ましたね」
「ア、ア、アニメ作るんだ、って、頑張って、しまったから。後さき考えず」
息切れ切れ八王子。
「あ、あ、後さき考えて、ささ、最初の一歩で、倒れておけばよかったでござる」
ト、ト、トゲリンも息切れ切れだ。
「だから、そうならないよう、しっかり鍛えて下さあい!」
というと敦子は気を取り直した様子で、道路脇にあるコンクリートの階段を降り始めた。
散歩道から河川敷へ入り、舗装路を歩いて川の方へ。
ふらふらと、三人も続く。
舗装路を外れ、草を踏みつけ、川の流れぎりぎりのところで、敦子は立ち止まり、くるり振り向いて定夫たちと向き合った。
「それじゃあ、発声練習を始めます。お腹に両手を当てて。はい! フフフフフ!」
フフ フフフ、
フフ フフ フー、
フー、
疲労が抜けておらず、へろへろだ。
「もっとしっかりと、お腹から声を出す! フフフフフ、はい!」
敦子はぽんぽん手を叩きながら、三人の前を行ったりきたりしていたが、
不意に定夫の前で、足を止めた。
「はい、続けて、フフフフ」
いいながら、ゆっくりと手を伸ばして、定夫のむにょんむにょんのお腹に手のひらを当て、ぐっと押した。
ゆっくりと手を引いた、その瞬間に、拳を突き出していた。
腹にズブリめり込んで、ぐほごほっ、と定夫はむせ返った。
「お腹が全然動いてません! レンさんお腹を使っていないから、跳ね返せなくて、そうなっちゃうんです! 声は腹式で! これ出来ると、出る声がまるで違ってきますから。しっかり意識していきましょう! 分かりましたか?」
「イーーッ!」
定夫は右腕振り上げ奇声を張り上げた。
なお、いまさらではあるが、レンさんとは定夫のことである。山田レンドル定夫、のレンさんだ。
「トゲさんもっ!」
ズドッ!
「グハでござるっ!」
「八さんもっ!」
ズドン。
「ぐぶう!」
「みんな、もっとお腹を使って! じゃあ次は、ハッヒッフッヘッホ
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