484部分:最終話 永遠の想いその六
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最終話 永遠の想いその六
「それだけだったのです」
「そうですね。本当に」
「そしてです。桜もです」
「桜達もですね」
「はい、目覚めたのです」
そうなったというのだ。
「春になりです」
「そうですね。待っていた春に」
「ではその春を」
「見ましょう」
こう話してだった。三人でだ。屋敷を出てそのまま進む。その間だ。
真理の足取りは確かだった。ふらつくこともない。そしてその足取りでだ。
しっかりと進みだ。桜に向かっていた。その彼女を後ろから見てだ。
看護婦は信じられないという顔になりだ。医師に問うたのである。
「あの、奥様は」
「そうだね。身体はもう」
「何時倒れてしまってもおかしくはないのに」
「そう、身体はね」
それはだ。あくまでだというのだ」
「けれどそれでもね」
「心は確かだからこそ」
「ああして歩けるんだ」
そのせいだというのだ。
「そういうことなんだよ」
「そうですか。では本当に」
「桜まで行けるよ」
「そして桜達を」
「見られるよ」
それもだ。大丈夫だというのだ。
「安心していいからね」
「まさか。本当に」
「今あの方々は最高の花道を歩んでいるんだ」
「花道ですか」
「そう、花道だよ」
まさにだ。それだというのだ。
「誰も歩いたことのない、一人では歩けない」
「そうした花道ですか」
「そう。今歩いているんだ」
「春の桜への道がですか」
「桜までもうすぐだよ」
また言う医師だった。
「最高の場所がね」
「近付いていますね。本当に」
こうした話をlしていてだった。遂にだった。
義正も真理もだ。そこに着いたのだった。
桜達、満開の千本桜がだ。咲き誇っていた。
それを見てだ。まずはだ。
義正がだ。温かい声で述べた。
「遂にですね」
「はい、本当に」
「来ました」
こうだ。真理に言ったのである。
「ようやくですね」
「長かったです。ですが」
「ですが、ですね」
「短かったです」
真理は桜を見ながら義正に話す。
「何故短かったかというと」
「充実していたからですね」
「前に桜を見て。そして今に至るまで」
「充実していましたか」
「幸せです」
でした、ではなかった。です、だった。
あえてこう言ってだ。そうしての言葉だった。
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