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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 後編
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の巨大リムジンも5トンもの重量に耐えられるはずもない。
 玖波はリムジンを、母親ごと挽き潰した。

『ふふふ、これで終わりだよ。
 君は、合格だ……』



 悪魔少年がそうつぶやいたとたん、無音の世界に音が蘇り、闇が晴れて都会の光景が広がる。

「何だよ、これは……」

 あらためて、玖波は周囲を見回す。
 戦車が暴れ回った市街地では、歩行者たちが挽き潰され、原形をとどめない自動車の残骸が火を噴いて燃えている。
 そして、T号C型の車体の下には、無惨に車体後部を挽き潰された彼の母専用のマイバッハ。
 もちろん、後部座席には彼の母が乗っている。

『君は悪魔でさえ恐れをなす。
 悪魔でさえ、親殺しなどしない』
「どういうことだこれはぁぁぁああ!!」

 彼らの周囲には、すでに機動隊が包囲を完成させている。
 SATとおぼしきスナイパーが、何か大型の銃器を構えている。

『ふふふ、対物狙撃銃と言うんだってね。
 で、この戦車の前部装甲はせいぜい30mm』

 悪魔少年はC型の対戦車ライフルに手を伸ばす。
 そしてそれで、ドアに防弾板が入ったパトカーを撃った。
 犯罪は「戦車男子禁制」を上回る「急迫不正の侵害」だ。
 銃で武装するテロリストを相手する警察官には、正当防衛・緊急避難の法理から装甲使用の違法性が阻却される。
(逆に言えば男は戦争であろうが平時であろうが、国際法上装甲に守られてはならない)
 しかし、C型のEW141対戦車銃は、それすらあっさり撃ちぬいた。

「くそっ! 正当防衛射撃だ!」

 SAT隊員はテロリスト制圧用に特に配備されたM82A1対物狙撃銃を、まず砲塔に発砲した。
 EW141とMG34に1発ずつ着弾。これらを破壊する。
 その弾道には悪魔少年もいるが、銃弾は彼を素通りする。
 内部で跳弾した銃弾が、玖波の正面の計器板をたたき壊し、エンジンの隔壁を撃ちぬいてエンジンを破壊する。

「操縦席も撃て!」

 指揮官の命令で、スナイパーはさらに操縦席クラッペをめがけて、12.7mm高速撤甲弾を3発撃ちこんだ。
 大口径タングステン弾頭は、玖波の頭部、胸部、腹部にそれぞれ当たるが、対人銃弾ではないので、ただ彼を貫くだけ。
 しかし、その銃弾は高速で戦車の中を飛び回り、四方八方から玖波を穴だらけにしていく。
 10秒も経たないうちに、彼の肉体は「ミンチよりひどい」状態となる。
 それを、ただ笑ってながめる悪魔少年……。






『マイロード。お仕置きが過ぎましたな』

 ここはK県某所の精神科閉鎖病棟。
 そこの「反省室」と言う名の、鉄格子の牢屋の前。
 玖波は、そこにいた。

『生半可の知識でおかしな魔方陣を書いたあげく
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