戦車は愛と正義を否定する 中編
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この国の特権階級の一員にして、聖グロリアーナ女学院唯一の男子生徒である玖波碧暁。
彼の望みは、世界唯一の男性戦車道選手となって、世界最強の戦車乗りとなること。
彼は召喚した悪魔を従僕にする魔方陣を行使し、少年悪魔を呼び出すことに成功する。
玖波は「全世界の女性が、彼の戦車道入門に賛同する」ということを魔力で実現せよと
下僕となった少年悪魔に迫り、それを承った少年悪魔は、主君である大公爵と交渉した結果、「4つの試練のうち、ひとつでも達成できれば望みを叶える」という条件つきの約定を得た。
しかし、玖波はすでに2つの試練を失敗し、残る試練は2つのみ。
『3つめの試練は、碧暁様に実際に戦車に乗っていただくものでございます』
少年悪魔は玖波の下僕になったと思われたときからずっと変わらぬ、人形のようなそぶりで玖波に次なる試練の説明をする。
『碧暁様にはこれから歴史上実際に起こった戦闘の渦中に転移していただき、その戦場にて戦った戦車の車長の一人に憑依して、戦いを勝利に導いていただきます』
「ん? 女にでも取り憑けと言うのか」
彼の今いる時代では、陸軍の戦車兵もすべて女性だ。
ただし、第二次大戦終結までは戦車兵は男だけだった。ソ連をのぞいてだが。
『いいえ、これから碧暁様が行かれる部隊は、ドイツ国防軍第504独立重戦車大隊です』
戦前ドイツで「国防軍」と言う場合、プロイセン以来の伝統を持つ陸軍を指す。
親衛隊や空軍とちがい、国防軍はナチスの子飼いではない。
また、ヒトラーは海のことはさっぱりだった上、戦艦ビスマルクを失ってからは興味も失ったらしく、レーダー提督を辞めさせたあとはデーニッツの好きにさせている。
ティーガー系列の重戦車は、一般の装甲師団ではなく、第501から始まる独立重戦車大隊、グロースドイッチュラント装甲擲弾兵師団、武装親衛隊にだけ配備されている。
カリウスは独立重戦車大隊の、ヴィットマンは武装親衛隊のエースである。
なお通常の装甲師団の保有戦車は、W号長砲身とパンターが半々である。
戦場でティーガーにはめったにお目にかかれないはずなのに、ドイツ戦車と遭遇したアメリカ兵は虎恐怖症がひどいせいか、V突に会っても「タイガー出現」と叫んでいた。
ただ、可哀想なアメリカ第5軍だけは、ずっとこの第504の虎どもにつきまとわれる。
イタリアから北上してドイツを目指していたからだ。
若干のP40という「なんちゃって重戦車」もいたらしいが……。
『行かれる戦場は、大隊の一部がフランスに分派されてシュバルツバルトの手前で死守命令を受けた部隊と合流し、南仏の最後の防衛戦を形成した、その場所です。
米軍の十大戦闘の一つと言われる激戦
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