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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 前編
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少年悪魔はあいかわらず感情のない声で答えると、その「ぱふぇ」なるものを転移させた。

『……なんだこれは?』

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「32ぽんどぱふぇだそうです。
(とある大洗の)戦車道女子は、これを30分で完食するとか」

 玖波は、そのどこにでもあるようなテラ盛りパフェをみて、これのどこが試練だと思う。
 せいぜい10kg、トップに乗っているのは小ぶりのアンガスメロンのようだ。
 リンゴが丸ごと何個かのっているのは、笑いを誘う。
 せめてルビーロマン(ひと房10万円以上)のテラ盛りでもしてくれなければ興ざめだ。
 こいつならいいとこ2万キロカロリーだろう。
 こんなパフェ、せいぜい3万円がいいところだ。
 大悪魔のくせにしみったれている。一杯50万円、10万キロカロリーでも平気だ。
 事実玖波は1日に20万キロカロリーの食事を摂取しているが、体重は63kg程度だ。

「ふん、この程度とはな。一つ目でクリアだ」
『それでは、お急ぎお召し上がりください。
 制限時間は30分ですので』

 30分?
 余裕がありすぎる。人をバカにしている。
 玖波はそう思った。

「まあ、見ていろ」



 それから10分経った。
 玖波はあっさりテラ盛りパフェを食いつくし、ご満悦である。

「ふん。世界最強を目指す僕がこの程度……」
『碧暁様、いっこうに「ぱふぇ」が減っておりません』
「はあ? 何言ってるんだ。
 このとおり完食し……」

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 カラのはずのガラス容器に、食べ尽くしたはずのパフェが鎮座している。
 こいつ、魔法を使ったなと、玖波も感づいた。
 そしてついに彼の忍耐は閾値を超えた。

「卑怯だぞ! 魔法を使うなど」

 少年悪魔は、まったく感情のない顔のまま、こういうだけだった。

『何もしないでいらっしゃったのは、碧暁様の方でございます。
 時間はあと20分しかございません』
「くそったれが!」

 しかし、もう玖波の胃袋が限度だと訴えている。
 彼は急に吐き気をもよおし、大理石の豪華な彼専用の厠に駆け込む。
 後から後から、彼の胃の内容物がこみ上げてくる。
 それだけではない。大腸までいかれたようだ。
 あわててズボンとパンツを脱ぐ玖波。
 しかし、大腸は彼の意に反した行動をとる。

 大理石の厠を吐瀉物とその他の汚物まみれにした彼が落ち着きを取り戻し、シャワーを浴びて身繕いを女中たちにさせて部屋に戻るまで、ゆうに2時間が必要だった。
 聖グロ仕様のタンクジャケット一式が、悪臭まみれのゴミと化した。
 もっとも掃除したり始末するのは玖波本人ではない。






『一回目の試練は、失敗に
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