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嗤うせぇるすガキども
戦車は愛と正義を否定する 前編
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を。西住最高師範と島田宗家を洗脳してこいと言うのだ。
 お前ならたやすかろう」
『……無意味にございます』

 できるできないではなく、無意味。
 こいつはガキの分際で、人をバカにでもしているのか?
 そう思った玖波は一瞬沸点を超えそうななったが、なんとか押さえつける。

『たとえ二大巨頭が貴方を門人にせよと言ったところで、師範たちがうなずきませぬ。
 逆に狂を発したと思い、座敷牢にでも放り込むことでしょう
 それとも碧暁様は、それがしに世界の半分を洗脳せよとでも』
「そうだといったらどうする!」

 少年悪魔の感情のない瞳がしばらく床を眺めていた。

「できるのか? できないのか! さっさと答えろ。
 僕は自分が手にいれたいと思ったものは、どんな手段を使ってでも手にいれるんだ」

 少年悪魔のガラス玉の瞳が、再び正面を向く。
 彼は無表情のまま、再び口を開く。

『我が君主、大公爵アスタロト閣下のお力添えをいただいてもよろしいでしょうか?』

 ほほう、こいつはそんな大物の部下だったのか。どおりでと玖波は思った。
 玖波も、魔界四大巨頭の名ぐらいは知っていた。
 魔王夫妻に次ぎ、天界四大天使と拮抗する大悪魔。

「よかろう。その伝手をぞんぶんに使い、僕の望みを叶えよ」
『かしこまりました』

 あいかわらず人形のようなそぶりで、口だけを動かして答える少年悪魔だった。






 四半刻後。
 少年悪魔は自分の主君の返答を得たとして、玖波の部屋に戻ってきた。

『主君は仰せです。
 貴方様がこれより四つの試練をうけ、ひとつでも成就できたら望みを叶えようと』

 その主君がここに来ないのを不愉快に思う玖波。
 しかし、そのくらいの譲歩は何でもない。世界の半分が手に入るというなら。

「いいだろう。
 その試練とかを受けてやろう。僕は世界最強の人間になれる男だ。
 そのくらい達成できないはずがない」
『御心のままに……』

 少年悪魔は目を閉じ、礼節にかなったお辞儀を返す。



「時間が惜しい。早く試練とかを始めろ」
『では、冷製菓子をひとつ。完食してください』
「冷製菓子?」
『は、地上では「ぱふぇ」と呼ばれる猛毒菓子とか』
「パフェだと?」

 パフェ?
 玖波は鼻で笑う。
 むろんレギュラーサイズのパフェの事などと思っていない。
 鬼盛りやテラ盛りパフェのことだろう。
 だが、その程度のものでどうにかなるほどヤワな胃袋ではないぞ。
 玖波にもそう考えていた時期がありました。とでも言えばいいのだろうか。

「ふん、そんなのはおやすいご用だ。
 約束を果たせと、お前の主君に言っておけ」
『こちらでございます』

 
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