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嗤うせぇるすガキども
とある地獄の断罪台帳 2/2ページ
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 何とも戦わず、何もかもから逃げ出せば確かに傷つくことはないだろう。
 表面的一時的に。
 だが、赤猫は知っている。
 目のまえにある問題から逃げたらどうなるかを。

『……確かにおみゃーは傷つかにゃくてよかったと思うかもしれにゃー。
 そりゃ、確かに正面には傷が付かにゃい。
 だけど逃げれば、魂の背中に消えにゃい傷がつくにゃー。
 その傷が、おみゃーをここに連れてきたんだにゃ
 正面の傷なら、すぐ消えるにゃ。俺のようににゃ。
 だけど背中の傷は、決して消えにゃー。お前のようににゃ』
「う、き、き、き……」

 もうプラウダ風紀いいんかい?のDANZAIもこのくらいでいいだろうか。
 いや、こいつは原作キャラじゃないから「断罪」でいっこうにかまわない。
 赤猫はもうこれ以上こんな汚物とつきあう気はなかった。

「たがらどいっで、なんて、おれか、ごんな、むけんしこぐに……」

 プラウダ風紀いいんかい?は、本当に度しがたい愚か者のようだ。
 しかしこいつが背中の傷を挽回する機会はもうない。
 赤猫は宣告する。

『おみゃーが悔い改めて戦わにゃいかぎり、背中の傷は消えることはないにゃ。
 だが、おみゃーにとって、この間までの人生が最後の機会だったんにゃ。
 でもおみゃーは結局逃げてばかりいて、もう背中に傷を付ける所がなくなったんにゃ。
 そしておみゃーは、これからも年老いた親の細いすねをかじるばかりにゃ。
 そのまま生き地獄に落ちるおみゃーをここに落としたのは、主人の慈悲にゃ』

 その時、プラウダ風紀いいんかい?の背中の、傷という傷から、一斉に炎が吹き出した。
 マンホールから、ハエの魔物がはい出してくる。
 彼は炎に包まれ絶叫するプラウダ風紀いいんかい?を見て、満足そうに笑う。

『ちょっと手こずったが、うまくいった。
 マナの圧縮比を容器崩壊ギリギリにあわせたら完全燃焼しだしたな』

 赤猫は不安になった。
 そんなことしてユニットそのものの寿命が縮みはしないかと。

『ユニットが壊れたら元も子もにゃーにゃ』
『いや、きっかけだけで良かったんだ。
 一回火が付けば、あとは平常運転で全然オッケー』

 ハエの魔物の言うとおりだった。
 プラウダ風紀いいんかい?は、他の罪人たち同様に燃え尽き、再生し、また燃え尽きるというサイクルに乗ったようだ。
 あとは通常のメンテナンスだけで十分だろう。

『そこで未来永劫、背中の傷と戦い続けるにゃ。
 もうおみゃーでも、どこにも逃げられにゃー』
『じゃあな。バイバイ○ーン』

 去り際に、赤猫は自分にしか聞こえない声でつぶやく。

『……世間が強いんじゃにゃい。おみゃーが弱すぎるんにゃ』
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