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嗤うせぇるすガキども
とある地獄の断罪台帳 2/2ページ
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に。
 それでもハエの魔物は、今日も懲りずに戦いを挑む。
 そういう意味では、まさに赤猫の同類だ。

『だが、今日の俺様には、この「強壮剤」がある!』

 赤猫は思う。
 どうだろうか。それでも勝てるだろうかと。
 勝ってしまえば、何もかもなくなってしまうかもしれない。
 世界は「利他」が僅差で勝っているからなんとかバランスが取れている。
 もし、「利己」が「利他」を圧倒したらどうなるだろうか?
 だれかの「利己」を満足させるためだけの恐怖政治の社会が出現するだろう。
 あるいは、地上の生き物がチェレンコフ光に根絶やしにされるか。
 だからハエの魔物は、今日も負けるために戦いに行く。

『そうか、がんばってくるんだにゃ。
 ……慈愛と勇気は、常に汝と共にあり。だにゃ』
『それ、俺様には最っ高の嫌味なんだがな!』

 赤猫は知っている。
 もし彼が戦いに倦んで、戦いをあきらめてしまったらどうなるか。
 そのときは「利他の化身」は、自己犠牲の果てに死んでしまうのだ。
 利他が利己に「自分だけ幸せなら、他が不幸でも構わないのか」と問うとき、利己は利他に「なら、まわりが幸せなら、お前は死んでもよいのか」と問うのだ。
 そしてその答えは永遠に出ない、自分にも、誰の心の中にでも。
 だから彼らは、互いに互いを必要としている。

『だからこそ「プラウダ風紀いいんかい?」のように戦わない自分を正当化することは、たとえどれほどの弱虫意気地無しであったとしても、許されることではないのだ』

 戦いに赴く「戦友」を見送る赤猫は、口に出してはそう言った。
 仕事は山ほど残っているが、まだ魔界の時計は1分も刻んでいないだろう。
 
 
 
 
 
−こんな「レッドインパルスVSベルク・カッツェ」はつらくて嫌だ− 完
 
 
 
 
 
 

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