とある地獄の断罪台帳 1/2ページ
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便利になったにゃ』
赤猫の方がそういいながら電車に乗りこむ。
『そうだな。それまでは魔力か自前の羽根しか移動手段がなかったからな。
人間だけに利便性を享受させておくことはないと主人のマスターが言ったそうだが、
まことにごもっともだ』
その気になれば自分でどんな機械でもこさえることができるハエの魔物が相づちを打つ。ここでそれをやらないのは、ハエの宿敵がここまで攻めてくることはないからだ。
機械嫌いの保守派であるベルゼブブと彼らのマスターの相性は、当然最悪だ。
もっともハエも赤猫も、小娘に力で従えさせられたわけではない。
ある意味彼らは、主人の小娘悪魔より強大な存在だ。
赤猫はかつて「地上」で主人がこれからやろうとする「仕事」を長いことやっていたし、ハエの魔物の方は、今でも絶賛現役中だ。ただし、異世界での話だが。
といっても、宿敵とガチで戦い、お約束のように負ける様子を中継されているだけだ。
そんな彼らが「使い魔」などやっているのは、ただで魔界に寝泊まりできるからでしかない。
実のところハエの魔物が賞賛した機械化が、皮肉にも魔界の財政を圧迫している最大の原因の一つだ。
『この電車はまもなく「ジェシー・ジェームズ」駅に到着いたします。
開くドアは右側です。
電車とホームの間が開いていますので、お降りの方はご注意ください』
機械音声の車内アナウンスが、彼らの目的地が近いことを告げた。
彼らは魔界の中央にある「ジェシー・ジェームズ」という巨大エレベーターに向かうのだ。
『地獄への道は常に善意に満ちているにゃ』
赤猫が罰当たりな箴言を口にした。彼は神も悪魔も冒涜している。
『まあ、「ジェシー・ジェームズ」は機械のエレベーターじゃないがな』
おそらくは神も悪魔も信仰していないだろうハエの魔物がぼそりとつぶやく。
ジェシー・ジェームズは、原初の昔から存在する地獄へのハイウェイだ。
地下鉄の駅から歩いてほんの5分ほどのところに「ジェシー・ジェームズ」の正門がある。そこには入場者への注意書きが一つだけ掲げられている。
『希望は持ち込み禁止と書かれているにゃ』
『中に入れば、いやでも無くなるさ』
門には守衛がいたが、彼ら二匹はどう見ても魔物なのでそのまま通される。
ジェシー・ジェームズには、赤い入り口と青い入り口がある。
彼らは赤い方に入ってしばらく進み、入場者受付で係官たちに呼ばれるのを待つ。
今日は入場者が少ないのか、彼らの番はすぐに来る。
『貴公らは何階層まで行くつもりか?』
『第八階層にゃ』
改札係のデーモンの問いに、赤猫はちゅうちょなく、最悪の罪人が半永久的に送
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