第九十九話 そうだ幼年学校へ行こう 後編
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から、貴族の師弟としては感激モノで泣きそうな者も居る。ラインハルトに渡されたのは、キンキラのど派手な万年筆であった、こういう時は一応演技が出来るのかありがたそうには見せるのだが、内面がにじみ出ているので、テレーゼにしてみれば見え見えである。
続いてキルヒアイスの番になりテレーゼが話し出した。
「キルヒアイスには先ほど同じ物を渡したので、今回は別の物にしますわ」
そう言って渡してきたのが、プラチナ製の懐中時計であったため、キルヒアイスは元より全員が驚いた。
「殿下、このように高価な物を頂くわけには参りません」
「良いのじゃ」
「御意」
結局はキルヒアイスは受け取ったのである、この話はあっという間に学校内で広まり、キルイアイスは皇女殿下のお気に入りになって、士官学校卒業後は近衛が内定だなと流れたのである。
ラインハルトは、それを聞いて益々苛つくのであった。
4年、3年と続き、いよいよ問題の2年である。モーリッツ・フォン・ハーゼが呼ばれ進み出る。テレーゼの姿はグリーンに赤のアクセントであるが、彼には灰色にしか見えない、その為にテレーゼは万年筆をそれぞれ違う色にしているのである、その為にハーゼの万年筆も赤と緑のセットであった。
取りあえず、そのまま1年まで渡し終えてからが本番である、それぞれに適当に話をさせながら色を聞いていく、ラインハルトとキルヒアイス以外の皆がテレーゼに感謝と敬愛を向けるが、色の話でハーゼがどうしたらよいのか判らなそうな顔をしているのが印象的であった。此で種銭は仕込んだ訳である。
後は観察者によりハーゼの色盲を副校長も知っている事を調べて、ハーゼの今後などを調整するのであるがそれは後日という事にした。更に人事異動を行い7月からシュテーガー副校長を幼年学校から女子下士官学校校長へ移動させて、孫に干渉出来ないようにしたのである。
そのあとで、軽い話をしながら、オフレッサーが校長へジャブを撃つ。
「校長、生徒の給食であるが、あれでは余りにも可哀想だな、
殿下も召し上がったが気の毒だとのことだ」
「はあ」
「軍務をもって国家に奉仕しようと志す者が、美食を求め味に不平をもたらすなど情弱の極みであるとはいえ、育ち盛りであるし卒業して直ぐに軍務に付くわけでもなかろう、そう言った事は士官学校で習えばよいのではと、殿下もお思いだ」
「オフレッサー御苦労、校長、皆未だ15未満じゃ少しは楽しみを持たせてやるのも良いと思うぞ」
テレーゼが、そう言いているなかで、ズザンナが耳元で校長に囁く。
「キャビネットの高級ワインとキャビアは惰弱ではないのですか」
校長は驚愕して顔が引きつり出したが、降参と返答するしかなかった。
「御意。軍務省とも相談致しまして早急に見直します」
「良いことですね」
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