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天使のような子に恋をした
天使のような子を助けた
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けだ」

「……ま、それならいいか。ちゃんと助けてやれよ?」

「ああ、もちろん。じゃ、また後で」

 一旦翔真と別れ、反対側の交差点へと急ぐ。俺の作戦はことりちゃんの彼氏のふりをすることだ。ナンパには一番効果的な方法だと思われる。今すぐ横断歩道を渡って助けてあげたいところだが、作戦実行の為、ある程度ことりちゃんより先回りする。

 それにしても、この人が多い中でよくナンパなんか出来るな。寧ろ人混みの方が都合が良かったりするのか? ナンパなんかした事もなければ、する気もないからそれに関してはサッパリだ。

 よし、このくらい距離があれば大丈夫かな。丁度横断歩道もあるし信号は青。躊躇なく反対側へと渡る。
 ことりちゃんは……まだ声を掛けられ続けている。彼女が中々折れないからか、少々苛立ってきた様子の男2人。反対に表情に恐怖が見え始めたことりちゃん。目には薄らと涙が浮かんでいた。

 ──よし。後は、適当な店の前で待ってればいい。距離が近くなり、俺も声を掛ければナンパは失敗に終わる。男2人が諦めれば、だけど。
 かなり距離が近くなってきた。声を掛けるのならこの辺りだと判断した俺は、ことりちゃんに向かって歩き出した。ここからは俺の演技力が試される。

 そして──

「よう、ことり。来たか、随分遅かったな」

「えっ……?」

 ことりちゃんは困惑。「えっ、誰?」というのが今の彼女の心の内だろう。まあ当然の反応。

「その人達は友達か?」

「あっ、えっと……」

 先ほどから、ばつが悪そうな表情をしている男2人。それと同時に俺のことを睨んでくる。おお、こわいこわい。

「チッ……彼氏持ちかよ。滅茶苦茶可愛かったのに」

「仕方ねえ、行こうぜ」

 俺をことりちゃんの彼氏と勘違いしたのか、ナンパを諦めて来た道を戻っていく男2人。どうやら作戦は成功したようだ。

「ふう……まあ、何とかなったか」

「あの、えっと……?」

「あ、安心して。俺はナンパじゃないから。それよりも馴れ馴れしく呼び捨てしちゃってごめんね?」

「い、いえ、いいんです! あの、私……助かったんですよね?」

「うん、そうだよ」

 ようやく自分が助かったことを理解したのか、安堵からくるものであろう涙で顔が濡れてゆくことりちゃん。傍から見たら俺が泣かしたようで少しだけ気まずい。

「あの、何も泣くことはないんじゃないかな……」

「ご、ごめんなさい……。私、本当に怖くて。でも助かったんだなって思ったら涙が出てきてしまって……」

 うーん、まあ仕方ないか。少なくとも大泣きではないから数分もしない内に泣き止むとは思う。だけど、やっぱり気まずい。

 俺がどうしようかと悩んでいると、後ろから我
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