天使のような子を助けた
[2/6]
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
くれよ」
「えー、またかよ。この前行ったばかりじゃん」
「いやいや、最近目を付けてるグループがいてさ。そのグループの新しいグッズが発売されたんだよ。昼飯奢ってやるから。いいだろ?」
「うーん、まあそれならいいか」
「おっ、センキュー!」
最近、翔真はとあるものに夢中になっている。それは、近年爆発的に流行しているスクールアイドルというもの。聞く話には、一般高校の生徒だけで結成されたアイドルで、芸能プロダクションを介していない。つまり、芸能人ではなくご当地アイドルみたいなものらしい。
翔真がかなりおすすめしてくるので、スクールアイドルの頂点に立つA-RISEという三人組のグループのライブ映像を見てみたのだが、度肝を抜かれた。
アレは本当に高校生なのか。プロと比べてもなんら遜色がなくて衝撃を受けた。なるほど確かに流行している理由がよく分かった。
──今思えば、ここが運命の分かれ道だった。ここで断っておけば、運命的な出会いをする事はなかったのだから。
そうして買い物を終えた後、昼食を食べて帰路に就いた俺達。秋葉原の大通りを歩いている。
平日の午後にも関わらず、たくさんの人で溢れかえっている大通り。交通量も多く、たまに改造車やスーパーカーが通って爆音を響かせたりしている。流石日本一の電子街といったところか。
隣には、欲しかった物を手に入られてご満悦な様子の翔真。彼が今回購入したのは、最近人気が上がってきているスクールアイドルのグッズ。そのグループは、A-RISEとは違って9人で構成されていて、ネットでは「9人の女神」と呼ばれているらしい。なんだろう、とても心に響く呼び名だ。
俺も翔真の影響を受けてスクールアイドルに興味を持ち始めてきたかな。そんな事を思っていると唐突に翔真が声をあげた。
「おっ、おい……アレってことりちゃんじゃないか?」
「なんだって?」
“ことりちゃん” その名前には聞き覚えがあった。ついさっき翔真が購入したグッズにも書いてあったような……まさか。
他人に気付かれないように、翔真が右斜め前に小さく指を差す。そこ──大通りを挟んだ反対側の歩道──には言った通りことりちゃんと、友達なのか男の人が2人。
しかし、どう見ても友達には見えなくて──
「まさか……ナンパか!?」
「……有り得るな」
もう少し様子を見てみる。男2人は執拗に声を掛けていて、ことりちゃんはかなり嫌がっている。間違いない、ナンパだ。
「助けないと……どうする!?」
「ああ、ちょっと俺行ってくるわ」
「えっ、お前まさか──やるのか?」
「アホか。俺だって武力行使はしたくない。しかも衆人環視の中だぞ? ちょっと演技してやるだ
[1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ