その29
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外の誰に嫁ぐ気だ。
恐らくナルトは、そんなことは考えた事も無いに違いないけれど。
そんな風に、忍の癖に、迂闊に隙を見せるナルトが悪いに決まっている。
サスケはもう腹を決めてしまったのだから。
愛だの恋だのはサスケにも良く分からないが、ナルトは自分の側から失くせない。
それさえ分かっていればそれで良い。
大体、うちはの復興を手伝いたいとか宣うなら、わざわざナルトが誰かを仕込まなくとも、母から直接サスケの家の味を仕込まれたナルト自身がサスケの嫁に来てしまえば、色々と手間も省けるのだし。
第一、三代目には既にそのように話を通したし、ナルトの父親に縁深かった担当上忍にも話を通した。
九尾を制するのに、うちは以上の適任も無いのは周知の事でもある。
それ故の下らない懸念は、これから叩き潰せばいい。
いざとなれば、ナルトを連れて里を出るまでだ。
ナルトの話通りなら、その時は兄も力になってくれるに違いない。
ただ、ナルトだけがサスケの意向を全っっっく気付いていないけれど。
一族所縁の武器屋にまで連れて行ってやったというのに。
じっと意識を無くした血の気のないナルトの顔を見つめていると、青い顔でサスケとナルトを伺っている同期連中と、頬を赤らめて自分を見つめているうずまき一族の血を引く女に、ふと思い立った。
そして、役に立たなかった木偶の坊の存在も。
そう言えばこの男はナルトの名付け親だったか。
ならばこの男にもサスケの意を知らしめておかねばならないだろう。
腕の中のナルトの顔にサスケは視線を落とす。
見慣れたはずのナルトの顔なのに、生きてナルトがここに居ると思うだけで、意識の無いナルトの顔が、酷く可愛らしく見えた。
日に当たると金の色を浮かび上がらせる赤い髪も、円やかな線を描く頬も、額も、ナルトを形作る何もかもがだ。
思わずそっと額に口付けを落とす。
声無き悲鳴が同期連中に走ったのを感じつつ、心からの安堵を漏らした。
「こいつがここで死ななくて、本当に良かった…」
もう、二度と、ナルトを死なせかけないと誓った筈なのに。
また、サスケはナルトを傷付ける事を許してしまった。
ナルト自身、素直にサスケに守られてくれるような玉ではないのは分かっている。
放っておけば、何処に飛んでいくか知れたものではない。
失わなかった安堵を感じながら、再びそんな状況を作る事を許した自分に対する憎悪と、そんな状況を許す世界に対する苛立ちにサスケは暗く思った。
力が必要だ、と。
ナルトを守り、ナルトをサスケから奪わせない圧倒的な力だ。
その為に、これからサスケはどうすれば良いだろう。
グツグツと煮え立つ思いを感じながら、もう一つ、思う。
ナルトを危険から遠ざけて大人しくさせて、サスケの言
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