その28
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無事に中忍試験予選が終わり、約束通り、ナルトの修行をつけてやる時が来た。
正直カカシも気合いが入る。
既にナルトにはカカシの経歴がバレている。
ナルトの父、四代目火影の波風ミナトに師事した事も、暗部に属して居たこともだ。
だからこそ、ナルトから寄せられる好意から逃げないと誓った。
若干の憧れを滲ませて自分を見上げるナルトの瞳は、恐らくカカシを通してミナトを見ている。
波の国の一件でそう確信した。
ただでさえ九尾に後れを取っているのだ。
ここでカカシがナルトから逃げれば、ナルトの心は里に根を張らない。
ナルトの心が里になければ、いずれナルトは始末される。
尊敬する師であるミナトの残した娘であるナルトを、むざむざと殺させる訳には決していかない。
里の人間全てに罵られようと。
仲間を見捨てるのは屑だと、かつての友であり、仲間であるうちはオビトの教えだから。
だからこそ、気合いを入れて今日を迎えたのだったが。
「さて、ナルト。お前はどんな修行をつけて貰いたいんだ?」
取り敢えず、師として部下の意向を把握しとかねばならないとそう思って何気なくしただけの質問だった。
ナルトが心を偽らず、素直に口を開きやすいように笑顔を心掛けて優しく訊ねた。
ナルトは警戒心が強く、内向的で容易く本心を口にしない一面がある。
まるで臆病な野性動物のように。
警戒させるのは得策ではない。
それに、カカシの前でも素直にはにかみを見せてくれるようになってきているのだ。
カカシ自身、そんなナルトを前にすると、素直に表情が柔らかくなってくる。
だから実は、労する事も無いのだが。
カカシの質問に答えを探すように、ナルトは口元に右拳を当ててこてんと小首を傾げた。
サスケの方は即答してきたと言うのに、ナルトには、まだまだ強くなる為の明確な理由が存在しないらしい。
恐らくはサスケと競う事が楽しくて、その為だけに力を求めているのだろう。
それは素直に微笑ましくて、昔のナルトを思えば喜ばしい事でもあるが、反面、忍びとしては問題でもある。
覚悟の伴わない力など、身を滅ぼす原因にしかならず、ナルトには九尾という最凶の力が宿っているのだから。
自分の中の答えを探していたナルトは、思い当たったように笑顔で希望を告げてきた。
「おじいちゃんや大蛇丸さんに殺されそうになっても、生き延びられるようにしてもらいたいです!」
無邪気な笑顔で要求されたLvの高さと、現実を冷静に見切った冷徹さ、そして、それを全て受け止めた上で無邪気に笑っているナルトの姿に、カカシは二の句が告げなくなった。
確かに、報告では中忍試験第二試験中に、サスケを狙って里に侵入していた木の葉の三忍の一人であり、現在はS級の抜け忍である大蛇丸に殺されそう
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