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NARUTO 桃風伝小話集
その28
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ることが叶った。
その余りの事態の深刻さに、御意見番の二人も言葉を発する事が出来ないようだった。
そして、その場に居合わせた全員で、密かに沈黙の制約を交わし、三代目と共に時を待っている。

ダンゾウが自ら『木の葉崩し』についての情報を里に齎す事を。
マダラの意を受け、私欲で動く駒ではなく、木の葉の忍である証を立てる事を。

ヒルゼンはマダラの生存は、暁に降ったイタチからの情報と明かし、自来也は暁の不穏さを報告した。
大蛇丸もかつて暁に所属しており、暁は尾獣狩りを画策する動きがみえる、と。
故に、中忍試験終了後、安全に疑問が窺える里からナルトを引き離し、修行を付ける為、自来也が一時的にナルトを預かり旅に出ると宣言した。
その事に否を唱えられる者は、誰も居なかった。
旅の期限はヒルゼンが決めた。
三年。

そして、その間に里の立て直しを図ると決定した。

暁から九尾を。
いや、ナルトを守れる体制を作れるように。

その一端として、カカシもこの身を捧げる事を決意している。
木の葉は荒れる。
確実に。

その嵐をナルトが目の当たりにしないのは、きっと、幸いだ。

そうして、ナルトが里に帰って来た時には、少しでもナルトが好ましいと思える木の葉に変わっていればいいと、カカシはそう思う。
いや、きっと、変わるだろう。
変える為にこれから動いていくのだから。

けれど、反面、存在に気付いてから、ずっと成長を見守ってきたナルトを、二年もの間、傍で見守ることが出来なくなる。
それは確かだ。
そして、だからこそ、ナルトの申し出は渡りに船で、カカシの胸を打つ。
そうして、そのナルトが望む力の種類は。

「えっと、出来れば誰かを守れるような術が良いかなあって。僕、本当は医療忍者になりたいけど、もしかしたら医療忍者にはなれないかもしれないし…。その代わりって訳じゃないですけど、やっぱりこういうの、忍らしくないですか?」

はにかんで、照れくさそうに打ち明けて、少し不安そうに訊ねてくるナルトの表情に、守り切れなかったリンの面影が重なる。
ナルトの目指す物も、リンと同じ医療忍者だ。

ナルトも理解している通り、ナルトの夢が、叶えられるかどうかは分からないが。
それでも、誰かを常に気遣い、優しい心はリンと全く同じものだ。
ナルトの方が、少し意地っ張りで素直ではないけれど、そんな所は母親のクシナに似ている。

だが二人とも、忍として生きる事が似合わないような、明るい笑顔の持ち主だった。

「良いや、そんな事はないさ。先生も、お前が身に付けた力でサスケを守ってくれたら安心だからね」
「本当ですか!?」

適当に矛先をずらす言葉をかけただけなのに、ナルトの表情に今日一番の笑顔が浮かんだ。

「本当だ
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