その28
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になったと聞く。
そして、己が里に命を狙われていることも承知しているらしい事も伺っていた。
だが、まさかこうも真っ正直にカカシにそれをぶつけて来るとは思いもしなかった。
沈黙を続けるカカシに、ナルトは不安そうに訊ねて来る。
「やっぱり、僕には無理ですか?」
不安に揺れるナルトの瞳には、切実な必死さが滲んでいた。
思えば出会った当初からナルトは人一倍現状を冷徹に見据え、判断していた。
当然、己が狙われていることも先刻承知の上で、それ故に強さを求めていた。
己が生き延びる為に。
少しナルトを見誤って居たのかも知れないと思い始めた時だった。
「もし、無理なら、せめて、先生から何か土遁を教えて貰えたらなあって思うんですけど…」
「土遁?お前は土のチャクラ性質持ってないでしょう。どうして土遁なんかを覚えたいの?」
思わぬ要求を重ねられ、思わず疑問を口にした。
その瞬間だった。
ぽっと照れたように頬を染め上げて、ナルトが恥ずかしそうにはにかんできた。
「だって、先生、土遁使いなんでしょう?僕、先生の教え子なんだから、一個くらい先生と同じ土遁使えるようになりたいです」
照れてはにかむナルトを前にして、世の中の父親という存在が、何故娘に弱いのかという理由が、朧気ながらも痛い程カカシにも理解できた。
こんな事をこんな風に自分に向かって言われたら、メロメロになるのも致し方あるまい、とそう思う。
そして、この言葉は本来、師であるミナトがナルトに言われるべき言葉だった筈だ。
とはいえ、ナルトの勘違いを訂正してやるべきか否か。
それが一番の問題だ。
そう思いつつも、口は勝手に開いていく。
「確かに先生は土遁も使えるけどね。別に、土遁使いって訳じゃないよ。先生のチャクラ質は本来雷だからね」
「え!?」
愕然とした表情で目を丸くするナルトに、可愛らしいなあと素直に思う。
確かに、ナルトは人一倍冷静に現状を見据えて、正確に事態を把握し、冷徹に判断を下す力を既に持ち合わせている。
その冷徹さはカカシですら末恐ろしさを感じる程だ。
けれど、全てを見通す目を持っている訳では、決してない。
ナルトの驚きはそれを表しているし、そして、それよりも何よりも、カカシの前で、素直にナルトの感情を表に出した表情を見せてくれているのが嬉しかった。
「でも、そうだね。お前がそう言うなら、お前には土遁を教えようか。サスケには雷遁を教えているからね」
「え、本当ですか!?」
そう言った途端、ぱあっと明るい笑顔を見せたナルトの顔に、恩師夫妻の面影が色濃く浮かび上がる。
そんなナルトの頭に、思わずカカシの手は伸びる。
波の国の任務以前は、手を伸ばしてしまうたびに、どこか警戒を滲ませて、迷惑げに
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