その27
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った。だから、ウチが木の葉に利用される事を我慢できるなら、木の葉で居場所を用意出来るかもしれないって…」
「まさかナルトが自分からお主に話したのか!?」
痛い程肩を鷲掴まれ、その勢いに思わず怯える。
必死に首を縦に振って肯定する。
「そうか。すまん。少し動転した。しかし、一体、ナルトは何を考えてそんなことを…」
思わずと言ったように呟いた男に、虐げられて来たからこそ分かる、うずまきナルトのウチへの気遣いを、思わず口にした。
「ウチが、何も考えず、ウチの事だけ考えて生きれるようにするためだと思う」
「何…?」
「上手く、言えないけど。ウチは、今まで誰かに利用されてばかりだった。けど、あいつは違う。ちゃんと、ウチの事、考えて言ってくれた。普通に助けられただけなら、ウチは、きっと、あいつの事を神様みたいに思ってたと思う。でも、あいつはウチに、自分は神様なんかじゃないよって、そう言ってくれたんだと思う」
言葉を口にしながら、うずまきナルトの考えを、必死に追う。
正解かどうかは分からない。
けれど、母と同じくらい優しくて甘いあのずまきナルトなら。
そう考えた瞬間、香燐は天啓のように気付いてしまった。
香燐には、もう一つ、木の葉に対する切り札になる情報を、うずまきナルトから与えられている。
香燐がうずまきナルトが人柱力である事を教えられた事が、木の葉でも特別な立場に居るのだろうこの男をこんなにも動揺させたのだ。
ならば、香燐がうずまきナルトが四代目火影の娘だと知っているという情報は、一体どんな意味を持つというのか。
うずまきナルトは、決して香燐に期待を持たせるような事は言わなかった。
当然だ。
うずまきナルトはいつ命を落とすか分からない忍として、いつでも使い捨てられる里の道具として、この木の葉隠れの里で生きている。
自分の命以外の余計な荷物など抱え込む余裕など、何処にもないはずだ。
香燐もそうだったように。
だから、だから。
木の葉に対して何も持たない香燐の為に、香燐が木の葉の里から有利な条件を引き出せるように。
だから、きっと、うずまきナルトは香燐にわざと機密を漏らした。
香燐がうずまきナルトの情報を使って、木の葉の里で上手く立ち回れるように。
出来るだけ木の葉の里で良い暮らしが出来るように。
サスケという男の憤りと礼の言葉が身に染みた。
こんな恩、どうやって返せば良いのか、香燐には到底思いつかない。
何となく、うずまきナルトがどんな人間なのか、ぼんやりと、分かってきた。
そして、分かるから、だからこそ、涙がとめどなく溢れ出てきた。
「ウチがあいつにされた事は特別な事だったのに、ウチに特別な事だと思わせないように気遣ってくれたんだ。ちゃんと、ウチが、自分の事だけ
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