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NARUTO 桃風伝小話集
その26
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認めざるを得ないが、二人とも、現時点ではまだまだ忍びになりきれていない、下忍に成り立ての子供なのだ。
多少、早熟で才走った所が大いにあるけれど。

「…それはちょっと気が早いのでは」
「だが、ナルトはサスケの家に通って、炊事や家事を肩代わりしてやっているそうではないか」
「肩代わりしてやってるだけのようですよ。一人分作るより、二人分作った方が経済的だからとナルトが言ってました。家事に至っては、修行や術開発のついでと言い張っています。サスケがどう考えているかは分かりませんけどね」
「そうか。なら、もう暫くは見守るとするか」
「今後はどうか知りませんがね。今回、サスケはナルトを失いかけました。結果として未遂ではありましたが、失っていてもおかしくない状況に立たされた。嫌でも自分にとってのナルトの存在を意識したに違いないですから」

何気なくそう溢した瞬間だった。

「そうか。そうじゃったな。そうか、そうか。では、何れサスケにはワシ直々に稽古をつけてやらねばならんかもしれんな。滅多な男にナルトを嫁がせる事になっては、四代目に顔向けができんからの。サスケの返答次第では扱いてやらねばならんな。ちょうどいい。カカシ、その時はお前も手伝うとよい」

にっこりと好々爺な笑みを浮かべたヒルゼンの背後には、めらめらと燃え盛る修羅のような気迫が漂っていた。
しまった、と失言を後悔しつつ、カカシはにっこりとヒルゼンに向かって笑顔を向けた。

「勿論喜んで。サスケの奴は、ナルトを守れる力が欲しいそうですから。きっとアイツも喜んで、三代目の慈悲に感謝すると思いますよ」

ナルトが懐いているサスケに感謝しない所が無いわけでもない。
本当に、ナルトはサスケの隣だと、年相応の無邪気な顔を幾つも見せてくれるから。

だが、それはそれとして、ナルトが懐く、生意気なサスケが気に入らないと個人的に思う気持ちが無いわけでもない。
何せ、サスケの振る舞いは、昔の思い上がっていた自分自身を見ているようで、どうにも座りが悪いのだ。
生意気なのは、勿論ナルトもそうなのだけど。

何故にあの二人はああも好戦的で喧嘩っ早いのか。
うちはの教育なのだろうか。
イタチは落ち着いた振る舞いの礼儀正しい男だったと思うのだが…。

まあ、何はともあれ、今の所二人の息はピッタリだし、阿吽の呼吸で行動していて任務に貢献していなくもないので悪いばかりでもないのだが、距離の近さ故に一抹の不安が込み上げるのは否めない。

それでも確かにヒルゼンの言う通り、生なかな相手に恩師の忘れ形見をくれてやる訳にはいかない。
サスケがそれを望むと言うなら、遠慮なく徹底的に痛めつけてやろうと思う。
良い機会でもあるし。

「ほほう。そうかそうか。それなら近い内に時間を都合するかの」
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