その26
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るを得ん。まあ、しかし、そういった自覚に欠けるナルトの行動に振り回されたお陰で、サスケはこちらが見込んでいたよりも早い期間で立ち直りはしたがの。フフ。あの頃は夜毎毎晩、我が家で繰り広げられるナルトとサスケの攻防で、寝入り端を叩き起こされて、心底うんざりしたもんじゃが、こうして思い返してみると、なんとも微笑ましい思い出じゃの」
「そうですね」
慈愛に満ちた眼差しで思い出を語り、緩く目元を和ませる三代目に、カカシは同じように同意した。
脳裏に浮かぶのは、黒と赤の毛色の違う子供達の姿だ。
カルガモの雛が親に懐くように、ナルトは無邪気にサスケに心を許している。
屈託のないナルトの満面の笑顔は、ナルトの両親を思い起こさせる。
凍り付いた無表情の人形のようだったナルトの、そんな無邪気な子供らしい笑顔を見れるようになった事を、嬉しく思わない訳ではない。
それに、全身で自分に対する無垢な好意を表してくるナルトに、サスケがどんな気持ちを抱いているのか。
今となっては手に取るように思い描ける。
サスケはきっと、ナルトを手放すような事はしないだろう。
今回の件で、ナルトを失う事への恐怖を覚えた筈だ。
ナルトを守る力が欲しいとカカシに願ったサスケを思いだし、カカシは目許を緩ませる。
サスケのその気持ちが、八方塞がりのこの状況に良い風を与えてくれれば良いと思った。
その時だった。
ふと、かつての四代目の雄叫びをもう一度思い出す。
先生にとっては、災難ともいえるかもしれないが。
「フフ。今頃はミナトの奴、草葉の陰で自分は許さんと血涙流して吠えたてておる頃じゃろうな。このままあの子達に何事もなければ、ナルトの嫁ぎ先は、サスケの所になるのかのう…。となると、うちは出身の火影の誕生も夢では無くなりそうじゃ」
そんなカカシの内心を見透かしたように、しんみりとした声で寂しげに呟いたヒルゼンに、カカシは一瞬言葉に詰まってしまった。
そしてむくむくとちょっとした反発心が浮かび上がる。
まだまだナルトは子供といっていい年だし、サスケだって未熟な子供にすぎない。
嫁だのなんだのを話題にするには、少し早すぎるだろう。
ナルト自身に、そういう自覚がある訳ではないようなのだし。
それに、サスケが火影になろうとするかどうかも未知数だ。
今のところ、木の葉の人柱力は、先々代のうずまきミト、先代のうずまきクシナと、続けざまに火影の妻となってはいるが、だからといってナルトがその流れを踏襲する必要はない。
する必要はないのだが、三代揃って女の人柱力という事で、ナルトにもそれを強要される未来は容易く描けるが。
そしてそんな未来を、サスケが黙って見ているともカカシには思えなくなってしまったのだが。
だがしかし、才能や将来性については
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