その26
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が、マダラはダンゾウが気付かぬうちに、ダンゾウを自身の幻術の支配下に置いていても可笑しくないと思うほどの技量の持ち主だった。何より、当時のワシらは子供で、そしてそれ故に未熟な忍だった。今のサスケやナルトのようにな…」
倦み疲れた疲労の色濃いヒルゼンの独白を、カカシは衝撃と共に硬直したまま、ひたすら耳を傾ける事しかできない。
口を挟めるような事が出来ようはずもなかった。
何故ならば、木の葉の闇を一手に引き受けていた根を統括している志村ダンゾウは、ヒルゼンの火影人生を支え続けた盟友とでもいうべき相手だったのだから。
「確かに疑いの目で以て精査すれば、今のダンゾウの振る舞いは、奴が師事しておった二代目様のものではなく、二代目様が敵としていた筈のマダラの挙動こそが当てはまってしまう。イタチの言によって、ワシはそれに気付いてしまった。気付いてしまってからはもうダメじゃ。何時からダンゾウの振る舞いは、初代様の教えや二代目様の教えから離れてしまったのかと考えても分からんのじゃ。なにも変わっておらんと思う。いや、そう思いたいだけなのかもしれん。何より、マダラの意志がダンゾウに巣くっていると指摘され、両者の成した事や振る舞いを比べてみると、驚く程に類似が有りすぎた。ワシは、老いた。それは重々承知しておる。だが、分からん。この問題にどの様に手を打つべきか」
ヒルゼンの苦悩は更に続く。
「ワシの命を待たず、イタチは一族を手に掛け、里を抜けてしもうた。重要な情報は時折ワシに送られて来ている。だが、イタチは決してワシの命を受けて動いている訳ではない。しかし、里の存続の為に、敵の罠の可能性をも飲んで、サスケを除いた一族全てに手をかけたイタチの決意を無駄にする訳にもいかん。イタチの献身が無駄にならぬよう、ワシの命を受けて里を抜けたように細工はしておいたが、一体、ワシはこの問題にどう向き合うべきか。ワシには未だに結論が出せん…」
火影らしくもなく、気弱に力なく呟くヒルゼンに、カカシは思わず無言になる。
まさか、ヒルゼンがこんな重大な悩みを抱えているとは思いもしなかった。
ついつい、カカシはヒルゼンに確認をとる。
「三代目、この事は、私の他に何方か?」
「…いや。ワシの胸一つに納めておいた。迂闊に漏らせば、里に動揺が走る。それに、砂の挙動に懸念がある現状、この問題の解決に割く手足が足りなすぎる」
嘆くような力無いヒルゼンの声に、カカシはやるせない気持ちを覚える。
ここに、四代目が居てくれたら。
そうしたら、あの人は明るくこの気鬱な空気をあっさりと晴らしてくれたに違いないのに。
そう思ったカカシは、ふと、思い付いて提案する事にした。
どちらにせよ、ヒルゼンは火影として問題に向き合わねばならないのだから。
「三代目。少し休
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