その26
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吐くような、悲痛な慟哭。
あの短い間に、サスケの写輪眼がどんな変化をしてしまったのか。
それを具に見てしまったカカシは、そちらこそを重く受け止めてしまっていた。
だからこそ、迷う。
ナルトとサスケの間柄は、随分と絡み合い、複雑に関係し始めている。
そしてそこに余人が入る隙は無いだろう。
おそらくは。
そして、里としても最早二人を切り離して考えるべきではない。
迂闊にナルトの処分に動けば、うちはの血が牙を剥くのだから。
「ナルトは大丈夫ですよ。サスケの奴がついてますからね」
正直、それに不満が無い訳では無いけれど。
未だにナルトに警戒されしまうカカシには、それ以上踏み込む事は出来ない。
ただ、ナルトがカカシの事を、恐る恐るでも慕ってくれているのも伝わってくる。
まさかそれが、ナルトが赤ん坊の頃の事を覚えていたせいだからだとは思いもしなかったが。
「ただ…」
三代目に報告の言葉を濁しながら、カカシは報告書には記載しなかった、詳しい状況を特殊な紙に記した文書を取りだし、ヒルゼンに差し出した。
証拠を残さない機密文書のやり取りに使用される文書様式に一瞬、ヒルゼンの顔に動揺が走る。
無言で手に取り、ヒルゼンはカカシからの本当の報告書に目を通す。
此方には、全てを詳細に書き記した。
ナルトが再不斬の手によって、一見、命を落としたと言える状況になった事。
その戦闘中に、サスケの写輪眼が完全に開眼していた事。
そして、直後のナルトの件によって、更に変化があった事。
偶々ナルトは仮死状態となり、命その物は助かった事。
恐らくサスケは写輪眼の変化には気付いて居らず、今のところ顕現したのはその時の一度きりである事。
その後、ナルトは偶然己の意思に寄らず九尾の分身体を権限させ、分身体を封印しようとするカカシに攻撃し、里への憎悪を剥き出しにした事。
そんなナルトを抑え、宥めたのはサスケだった事。
カカシに攻撃を加えた事に消沈したナルトと話した結果、恐らく、ナルトにとっての里とは、ダンゾウ率いる根の意思を汲む物であるという認識になっているのかもしれないとの印象を受けた、カカシの個人的な推測も添えた。
それ以上は、記さなかった。
志村ダンゾウは、猿飛ヒルゼンにとって、竹馬の友とでも言うべき相手で、共に初代と二代目の教えを受けた同士でもあるのだから。
愕然とした表情で絶句するヒルゼンの手の中で、役目を終えた文書が跡形もなく燃え上がって消えていく。
無言で硬直しているヒルゼンに、カカシは静かに報告する。
「うちの部下達は、それぞれを切り離して考えるには遅い時期に来ているようです。ダンゾウ様か。それともナルトとサスケか。それによって、里の未来は大きく変わるでしょう。ナルトと、サスケ自身
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