一章 薬師とか穢れとか
四話 可愛い子には旅をさせよと言うけれどそれよりも手元でひたすらに愛でたい。
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早いのかもしれない。しかしその趣ある町並みに余り往来は無かった。
「今は皆病に伏してるのよ。」
「ああ例の流行病ってやつ?」
その病気の治療薬を作るために永琳は里の外に出たのだった。一人で全員分作るのかな?
「早く薬を作らないと…あなたはこの後どうするの?」
「うーん。」
さてどうしようか。元々暇だから人里に来てみただけだし。この分だと街を回っても現代のシャッター街よろしく禄に店は空いてないだろう。
「永琳のことを手伝うよ。」
「…本当に変な妖怪ね。貴方。」
まあ、元人間だしねぇ。
「はぇ〜」
思わず変な声が出てしまう。私達二人は永琳宅に着いた。割かし綺麗に整頓されているが、土壁に取り付けられた木の棚には所狭しと大きめの瓶が並んでいた。中身は薬草だったりよくわからないトカゲみたいのだったり。
「これ全部永琳が?」
「そうよ。」
恐らく全部薬を作るのに使うのだろう。にしても一人でこの量を集めるのはかなり果てしない苦労の様に思える。永琳ちゃん半端ないです。
取り敢えず薬の作成の準備に取り掛かる。永琳の指示に従ってアレやコレやをボウルみたいなものの中に入れ混ぜていく。作業をしながら会話を投げかける。
「いつから薬を作り始めたの?」
「物心着いたときからかしらね。昔居た家に薬草の本があってそれを見て色々やったものだわ。」
筋金入りの薬師らしい。永琳マジパネェ。
「今までもこんな感じで皆のために薬を作ってたの?」
「ええ…まあ皆のためと言うより、私の好奇心を満たすためだけどもね。」
ふむふむ。つまりこういうことだね。
「べ、別に皆のためなんかじゃないんだからねっ!って事ね。」
「…どういういうことよ?」
「で、できたぁ…」
ようやっと薬の作成が終わった。正確には数えてないけど、4桁行ってそうな数だったよ。どっと疲れに襲われる。なかなかに辛かった。
「ご苦労様。おかげで思ったより早く終わったわ。」
「そりゃよかった…」
対して永琳は涼しい顔をしている。私の二倍は数をこなしている筈なのにそんなのはおくびも感じさせない。他の人のために平気でこんなことができるんだから凄い。薬草の採集の時もそうだったけど私には無理だね。
「それじゃあ薬を配りに行きましょう。」
「ええ…休憩は?」
「早く飲んでもらったほうが早く治るでしょ?」
「うう…へいへい。」
それから永琳とともに里中を薬を配って回った。なかなかにこの
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