第5章:幽世と魔導師
第149話「向かう場所は」
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……」
「ォオオ……オオ……」
大きな体が、その場に崩れ落ちる。
「……そん、な……」
それを遠くから双眼鏡で見ていた男は信じられないように呟く。
「あれほどの相手を、たった一人で……」
倒れ伏す四体の四神。
それらを倒したのは、たった一人の少女だ。
見た目だけの問題なら、あり得ないと思うだろう。
「くそっ……!」
避難してきた人達を守る彼らは、四神が相手をしている間に守りを固めようとした。
だが、そんなのは無意味だと、四神の戦いを見て理解したのだ。
さらには、別方向の場所に、正体不明の龍が現れていた。
そちらの警戒も怠れないため、どうしようもなかったのだ。
……その上で、四神があっさりと倒されてしまったのだ。
「あ……ぁ……」
悪態をつく者もいれば、怯えて声が出せなくなる者もいた。
何せ、自分たちではあれに勝てない事も、次は自分たちがやられる番だとも、理解できてしまったからだ。
「っ………!」
一歩、少女は彼らに向かって歩く。
双眼鏡越しにそれがわかり、つい体が跳ねるように強張る。
「……!」
だが、それ以上少女は歩を進めなかった。
「あれ、は……」
恐怖に足を竦めながらも、状況を見ていた男が呟く。
少女の少し離れた前方に現れたのは、二人の少女。
片や、銀髪に黒い外套を纏った少女。
片や、狐の耳と尻尾を生やし、茶髪で十二単のような着物に身を包んだ少女。
……葵と、神降しをした優輝だ。
「まさか……」
様子を見ていた男は期待するように呟いた。
対峙しているという事は、その二人も味方をしてくれるのではないかと。
……果たして、その予感は合っていたのだった。
―――現世と幽世を巻き込んだ戦いが、今始まる……
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